株式レポート
3月15日 18時0分
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窓 - ダウとソニーとニコンとその他 - 広木隆「ストラテジーレポート」

昨日のレポート『「根拠なき熱狂」と「熱狂なき最高値」』では、ダウ平均のローソク足チャートに「二ツ星・三ツ星」が示現しており、この次の展開が重要だと述べた。なぜなら次に上放れた場合、さらなる上昇の始まりを示す買いシグナルとなるからだと指摘した。果たして、昨日の米国株式市場でダウ平均は連騰記録を10まで延ばし、1996年に記録した10日続伸に並んだ。ほぼ高値引けとなり、上げ幅は80ドルを超えた。酒田五法に従えば、上昇相場の「二ツ星・三ツ星」→上放れて陽線、今後も一段高の展開となっていくのだろう。



ちょっと待った!という声が聞こえる。果たしてこれは「上放れた」と言えるのか?「放れる」とは「窓」を空けることではないか。う〜ん、この解釈は微妙である。持ち合いから上下に動きが出ることも、「放れる」というから、僕はこれで「上放れた」として良いような気もするのだけれど。

そもそも、ダウ平均は「窓」が空かない。いったい、どういう理由かは定かではないのだが、「窓」がないのだ。そこで、この業界の「生き字引」と自他ともに認める、ナンバー・ワン・テクニカル・アナリスト、Kさんにお伺いしたところ、Kさんも詳しくはご存じないとのこと。彼が知らないなら、僕に分かる訳がない。但し、Kさんいわく、
「日本は気配値優先だから窓が空くが、米国の個別銘柄は寄り付くまでは<前日比変わらず>で計算されているようなので、それでダウ平均は窓が空かないのではないか」との示唆をいただいた。なるほど。そんなところが理由なのだろう。

日本株でもチャートを注目していた銘柄がある。ソニーである。2月7日に1,551円の高値をつけた後、反落し、今月に入って切り返してきて12日に1,550円まで買われたが、2月の高値を抜けなかった。「あと1円」足らないで抜けないのは「鬼より怖い一文新値」の逆状態。「鬼より怖い一文新値」とは、前回の高値を僅か一文(一円)上回ったところで上昇が止まってしまうとダブル・トップとなって強烈に天井を打ったサインとなることだが、一文(一円)下回ったところで上昇が止まってしまっても結局ダブル・トップとなるので、同じだろう。むしろ、こっちのほうが「抜け切らない」感があって「ヤバイ」感じじゃないか。

と、心配していたら、今日は抜けてきた。しかも「抜けた」なんてものではない。これそ上放れの見本のような突き抜け方である。日経新聞の記事「会社研究」が効いたのか、あるいは大手証券の投資判断引き上げの効果か、東証の売買代金ランキングトップとなる商いを集めて10%超の急騰を演じた。高値は1,690円まで買われ、昨年4月10日から11日にかけて空けた窓を完全に埋めてきた。日経平均がリーマン前水準を回復し、多くの銘柄が次々と昨年来高値を更新するなか、ソニーはまだ昨年来高値さえ抜けていないのだ。「戻り率」という点では出遅れ物色の矛先が向かうのは必然だった。



「戻りも窓まで」という格言がある。下げ相場で窓を空けて下放れても、とりあえず窓までは戻ってくる。但し、窓埋め完了すると、再び下落することが多いということの教えである。しかし、それは下げ相場の初期反騰、リバウンド局面の話だ。今のソニーは本格反騰に入ったような気がする。米国本社ビルの売却など、なりふり構わないリストラモードだが、「復活」の道はまだ見えない。スマホが反攻の鍵とよく言われるが、確証はつかめていない。但し、何度も述べていることだが、誰もが確信が持てる復活へのストーリーが市場に示されるころには株価はもっと上に行っているだろう。ある程度は、感覚や「兆し」みたいなものに賭けてみることも株式投資では必要だと思う。

この斬新でスタイリッシュなデザインは往年のソニー復活をじゅうぶん予感させて余りある。


(出所:ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社ホームページ)
「戻りも窓まで」というが、窓埋めまで戻ればじゅうぶんという銘柄がある。ニコンだ。 2月7日にニコンは値幅制限の下限(ストップ安)水準となる前日比500円(19%)安の2,139円と急落。2カ月ぶりの安値に沈んだ。前日に2013年3月期の業績見通しを下方修正したのがきっかけだ。ニコンの株価は円高修正を追い風に1月15日に昨年来高値(2,750円)をつけ、11月半ばからの2カ月で千円近く上昇していたが7日の下落でこの約半分を吹き飛ばし、その後も株価は下落を続け、今月に入ってザラ場で2,000円の大台を一時割ってようやく底値感が出たところだった。それが先日来、在庫整理に目処がつき利益率改善の観測、今日は450ミリウエハ露光装置をインテルから受注したと日経新聞で報じられ4連騰である。2月の急落分を取り戻し、窓埋めとなる2,600円程度までの戻りが見込めるような状況になってきた。



ずっと推奨してきた産業ファンド投資法人も窓空けして上放れ、新値をとってきた。REIT全般に買いが途切れない。しかし、REITは利回り商品である。株価が上がれば、利回りが落ちる。だから必然的に株価上昇にも限度がある。さらに株価が上がるには投資先の物件から得られる賃料収入が増加する必要があり、それには①賃貸料が上昇する、か②投資物件を新たに取得し収入を増やすかである。投資物件を取得にするには増資か借入をして外部成長を図るしかない。増資だけでは、結局1株当たりの収入は変わらないから、借入をしてレバレッジをかけることが必要である。

物流施設に投資するREITを推奨してきたが、産業ファンド投資法人もGLP投資法人もプロロジスリート投資法人も配当利回りが3%台に低下している。株価は底堅いと思うし、まだ上値はあるだろうけれど、長期国債との利回り格差が3%を切ってくると、そろそろ割高感も台頭する。これらの銘柄についてはアップサイドも限界が近づいていることを認識するステージにある。

今日の業種別騰落率トップは海運。もともとボラティリティが高く、これまで業績悪化でパフォーマンスが低迷していた代表業種だけにその反動もあって「リスク・オン」になると急騰する「癖」のようなものがある。今日の急伸の背景は、TPP(環太平洋経済連携協定)に関する思惑だ。TPP参加で貿易量が増えるという期待から、川崎汽船や日本郵船や乾汽船などの海運株が軒並み買われているが、後講釈の感が強い。海運株物色に持続性があるかは疑問だ。

TPP(環太平洋経済連携協定)は太平洋地域における自由貿易協定(FTA)の集合的呼称である。自由貿易協定(FTA)は特定の国や地域との間でかかる関税や企業への規制を取り払い、物やサービスの流通を自由に行えるようにする条約のことだが、このFTAを柱とした経済連携協定(EPA)というものもある。EPAは、物流のみならず、人の移動、知的財産権の保護、投資、競争政策など様々な協力や幅広い分野での連携で、国または地域間での親密な関係強化を目指す条約のことだ。

5年前、経済連携協定(EPA)の介護福祉士候補者として来日し、特別養護老人ホームで働きながら資格を取ったインドネシア人のチェチェップ・サリフ・サフルディンさん(27)が「私の3K」と題するスピーチを行った。3Kは「きつい、汚い、危険」。しかし、彼の考える3Kは「健康」「工夫」「共感」である。「施設で働くと1日の歩数は1万歩を超える。どうすれば笑顔を浮かべてくれるか。お年寄りの心の支えになるのが私の喜びです。」
同じインドネシア人で三重県の病院で働く看護師マルガレタ・マリア・カシミラさん(26)は、なぜEPAの看護師は訪問看護が認められないのか疑問を投げかけた。「高齢化が進む日本で、私も訪問看護で役に立ちたいのに残念だ」という。

制度だけあっても、それを本当に有効に活用するにはどうすればいいか。現場の声から学ぶべきことは多い。TPP - まだまだ言葉だけが独り歩きしている感がある。

ちなみに、サフルディンさんらの話は朝日新聞夕刊のコラムで知った。そのコラムのタイトルは「窓」という。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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