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職あれば食あり

IT企業は東北の漁業を救えるか?
都会育ちのヤフー社員が抱える葛藤

まがぬまみえ
【第41回】 2013年3月21日
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 1月上旬のことである。早朝の新幹線で東京を発ち、仙台駅から石巻へ向かう高速バスに乗った。

 平日の午前8時台。乗客の多くは通勤者のようで、補助席をすべて下ろさなければならないほど車内は混んでいた。約1時間、満員の高速バスに揺られて石巻駅に到着すると、現地に駐在しているヤフー復興支援室のメンバーが待っていた。

 その中の1人に、リーダーで室長の須永浩一さん(45歳)がいた。

東北の厳しい寒さのなかで
「復興デパートメント」を支える

 ヤフーが東日本大震災をきっかけに「復興デパートメント」というショッピングサイトを立ち上げ、その運営のため、この宮城県石巻市に常駐スタッフを置いていることはすでにいくつかのメディアが報じている。そうした取り組みの詳細は彼ら自身の言葉によって東洋経済オンラインでも紹介されているため、ここでは、記事ではあまり触れられていない現地スタッフの葛藤を中心に書いていきたいと思う。

 伝えたいのは、ヤフーという企業ではなく、須永さんという1人のサラリーマンの物語だ。

 駅に到着すると、挨拶もそこそこに彼らの運転する車に乗り込み、渡波から牡鹿半島にある狐崎、佐州と3つの浜を丸1日かけて訪問した。彼らはそれぞれの浜で牡蠣の養殖を営む漁師たちに取材し、特設ページに載せるための情報を収集して歩いた。

 牡蠣を洗浄したり殻を剥いたりする作業所の横で、冷たい潮風に吹かれながら、彼らと共に若い漁師の話を聞いた。晴れて気持ちのいい朝だったが、2つ目の訪問先である狐崎に到着する午後には陽も弱くなり、風は突風となり、地面をしっかり踏みしめていないと吹き飛ばされてしまいそうなほどだった。

 「これ、人数分用意したんで着て下さい」

 スタッフに促され、着ていたダウンコートの上からもう1枚、大きなスタジアムコートを羽織った。

 「さすがに寒いですね」とオフィスに戻ってから須永さんに話しかけると、「寒さは本当に堪えます」と、彼が応じた。最初のうちは東京と変わらぬ感覚で暖房器具はエアコンさえあればいいだろうと高をくくっていたが、すぐに「石油ストーブがないと、とても冬は越せない」と知ったという。須永さんにとって、初めて知る東北の冬の厳しさだった。

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