ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
辻広雅文 プリズム+one

麻生太郎・自民党新総裁は宰相の器か

辻広雅文 [ダイヤモンド社論説委員]
【第45回】 2008年9月24日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 麻生太郎・自民党総裁が誕生した。本格政権樹立を賭け、おそらく時をおかずして総選挙に打って出る。果たして、麻生氏は宰相の器であろうか。 

 この6月、景気の悪化に内閣府が言及して以来、太田弘子・前経済財政担当相はしばしば、その原因を「交易条件の悪化」と述べた。今回の場合、交易条件の悪化を一言で言い表せば、「輸入価格の上昇」である。

 周知の通り、昨今の原油、各種資源、食糧などの一次産品の世界的高騰はすさまじい。それは、日本にとって原材料の輸入価格上昇、つまり、製造業の大幅なコストアップに直結する。価格転嫁は容易ではないし、価格転嫁したとしても売り上げが伸びなければ、業績は悪化する。傷口を広げまいと数量調整、減産が広がり始めれば、いよいよ景気悪化は本格的になる。

 見方を変えれば、こうした日本の遺失利益は、一次産品の輸出国などの利益となる。つまり、輸入価格の上昇は、海外への所得移転を促す。

 これが、交易条件の悪化である。だが、私の知る限り、麻生氏は総裁選で、この景気悪化原因に触れることはなかった。

 麻生氏は、日本経済を全治3年と診断し、財政出動をためらわず、定額減税、投資減税などが柱――といっても、対象も規模も不明ではなはだあいまいだが――処方箋を公約とした。

 しかし、正確に病因を把握できねば、適切な診断も処方もできまい。繰り返すが、今回の景気悪化の主要因は、国内に根ざしているのではなく、外発的なものであり、かつ、供給側が急激なコスト増と世界的な信用収縮余波によって追い込まれていることに問題がある。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

辻広雅文 [ダイヤモンド社論説委員]

1981年ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部に配属後、エレクトロニクス、流通などの業界を担当。91年副編集長となり金融分野を担当。01年から04年5月末まで編集長を務める。主な著書に「ドキュメント住専崩壊」(共著)ほか。


辻広雅文 プリズム+one

政治・経済だけではなく、社会問題にいたるまで、辻広雅文が独自の視点で鋭く斬る。旬のテーマを徹底解説、注目の連載です。

「辻広雅文 プリズム+one」

⇒バックナンバー一覧