本コラムが公開される時期は、多くの企業で「人事異動の季節」を迎える。内示を受けた人たちは、引っ越し準備に取りかかっている頃であろう。引っ越し業者にとっては繁忙期だ。

 筆者が現在の家(栃木県小山市)へ引っ越しするときは、ヤマト・ホールディングス(以下「ヤマトHD」と略す)を利用した。納戸や押入の奥にはいまでも、白の無地にクロネコの絵柄が印刷された段ボール箱が、水色のガムテープで封印された状態で大量に積み上げられている。

 箱の中味の大半は、いまの職業に就く前に学習の用としていた専門書などだ。記述されてある内容は、現在の会計基準ではまったく通用しない「古本」である。それでも捨てられずにいるのは、相応の理由がある。

 その中の1冊に、『体系財務諸表論(理論編)』(山桝忠恕、嶌村剛雄)という専門書がある。初めて読んだときは何が書かれてあるのか、さっぱりわからず、落ち込んだことをよく覚えている。

 その後、本試験の1ヵ月前であったと思う。長く「積ん読」状態にしていたこの書籍を読んだとき、記述されている内容のほとんどを、一読して理解することができた。「学ぶとは、こういうことをいうのか」と感動した当時のことを忘れないために、筆者にとっては「捨ててはいけない一冊」なのである。

ヤマトHDにみる「季節変動の波」

 話がそれてしまった。引っ越しである。

 クロネコの絵柄が印刷された段ボール箱を、納戸などで収納箱代わりに利用しているせいか、筆者にとってヤマトHDは、引っ越し業者のイメージが残る。同社にとって、いまの季節は収益拡大のチャンスであるはずだ──と考えていると、実はそうでもなかったりする。それを確かめるために、〔図表 1〕を作成した。