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田中均の「世界を見る眼」

ベルリン三極委員会総会で感じた世界の変化
新たな秩序の模索と国際協調主義の重要性

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第18回】 2013年3月22日
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ベルリンでの三極委員会総会に出席
世界の変化はいまだ過渡期にある

 3月15日より17日までベルリンで開催された三極委員会の第40回総会に出席した。三極委員会は、1973年にデービッド・ロックフェラー氏の提唱により開催が決まったもので、北米、欧州、日本の三地域の有識者が毎年会合し、時々の重要課題について議論し、地域間の理解を深めることを目的としていた。

 当時は世界第二の経済大国に台頭してきた日本を、「西側民主主義先進国の仲間」として遇し、冷戦下に求められた西側の結束を強化することが最大の意味であったのだろう。日本が時に「異質」と言われながらも、戦後急速に国際社会の有力な一員となることができたのは、三極委員会などを通して政治家、財界人、学者、官僚OBなどの有識者が、国際的な議論に馴染んでいったことも大きな要因である。

 そういう意味で、三極委員会は発足時の目的を見事に達成したということができよう。今回の総会では、国際社会が大きく変動し、東アジアからは日本だけではなくいくつかの諸国が参加するようになってはいるが、三極委員会の存在意義を今後どこに見出していくべきか、ということが中心課題となった。

 私は三極委員会の中での議論を聞きながら、「世界の変化は大きくいまだ過渡期にある」という印象を強めざるを得なかった。世界は東西冷戦、あるいは米国一極体制の時代から多極化し、時には無極化と言われる時代となっている。三極が代表する欧州、北米、東アジアの地域においても不安定さが顕著に表れ、次のような課題を中心に議論が進む。

 ・欧州は債務危機を乗り越え、再統合に軌道を戻せるのだろうか。

 ・米国は内向きに転じ、積極的な対外政策は望めないのではないか。

 ・東アジアは中国の台頭と対外攻勢により、不安定化するのではないか。

 三極委員会の開催地は毎年3地域で輪番となり、今年は欧州地域ドイツで行われたこともあり、メルケル首相も登場して欧州をめぐる活発な議論が行われた。この半年で二度メルケル首相にお目にかかったが、会うたびに自信を増した発言となっているのは印象深かった。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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