携帯電話の「夏モデル商戦」が盛り上がりそうにない本当の理由
夏モデルの目玉である「HT-03A」は、ドコモから登場。Android OSを搭載したGoogleケータイだ。

 5月19日にドコモから18機種、ソフトバンクから19機種の夏モデルケータイが発表された。全てチェックするだけでも大変な数だが、果たして凋落傾向にある携帯電話の販売を盛り返すことは、できるのだろうか?

 携帯電話の端末が売れていないことは、各種報道でご存じの方も多いだろう。世界的に好調とは言い難いが、日本では「価格体系の見直し」が大きなダメージになったと言われる。

 つまり、「購入時は高いが、通話料金を安く」という正しい価格体系となったのが、悪影響を及ぼしたのだ。

 ドコモの場合など、ベーシックコースを選ぶと購入代金が1万5000円割り引かれるものの、月々の通話料が高くなるため、単純計算しても得には思えない。

 これでは、売れないのも当然だろう。だが僕は、「売れなくなった理由がそれだけ」とは思えない。そもそも、携帯電話の端末は“踊り場”にさしかかっているのではないだろうか?

 携帯電話の端末は、通話という「本来の役目」を遙か昔にクリアしてしまい、今や通話に関する機能や性能で端末を選ぶ人は、まずいない。何らかの付加機能を重視して、機種を決めているのが普通だ。

 一昔前には、カメラ機能が目玉だった。デジカメブームとの相乗効果もあって、カメラ付きケータイを求める人が大勢いたのだ。

 カメラが当たり前になると、次はワンセグだ。大きなスポーツの祭典などをきっかけに、ワンセグケータイを買う姿も見られた。確かに、ケータイでテレビが見られて録画できるようになったのは、画期的なことだった。

 ところが、それらが当たり前になると、次なる大きな“ネタ”が見当たらないのである。今シーズン注目を集めている商品といえば、せいぜいソフトバンクのソーラー充電「936SH」と、ドコモのAndroid OS搭載携帯「HT-03A」くらいだろう。

 だが残念なことに、テレビのニュースやワイドショーを見ていても、これらの携帯はわずかしか取り上げられていない。要は、「目玉がないから関心が低い」のだ。そして、売れなくて苦しいから、メーカーのテレビCMも減っている。