昨年9月に発生した反日デモ、そして日本製品のボイコットを旗印にした日本経済への制裁から、半年が経った。積年の日本・日本企業・日本人への恨みが吹き出し、血祭りに上げるかのような中国での異常な騒ぎは、今ではすでに以前の静けさに戻ったかにも思える。

 しかしその一方で、今年1~2月、日本の対中投資は前年同期比で6.7%減少した。日本の中小企業もどんどんアジアシフトを加速させる動きが顕著になっている。さらに、現地で経済活動を続ける日系企業にとっては、いまだその後遺症を引きずる結果となっている。

 騒動の当時、中国人の間ではこのようなセリフが流行っていた。

「もし中国人が、日本ブランドを1ヵ月間買わなければ、日本企業は数千社が倒産する。半年間買わなければ、日本は人口の半分が失業する。1年間買わなかったら、日本経済は徹底的に瓦解する――」

「中国市場に依存しているのは、むしろ日本経済だ」と、日本の脆弱な足元を見、経済制裁という形で一種の商戦を仕掛けたのである。日本ブランドを駆逐し、国産ブランドを台頭させる――それが世界第2位の経済大国になった中国の挑戦でもあり、過去100年の歴史のなかで連綿と続いた「天敵日本」への恨みを一気に晴らす好機でもあった。

 しかし、果たして彼らの狙い通りになったのだろうか。

日本企業の事業縮小に伴い
泣きを見るのは中国企業と中国人

 今年3月、筆者は上海市長寧区にある中国資本の日本語教室を訪れた。上海の日本語教室といえば、最近まで成長著しい産業のひとつであり、かつてここにも多くの中国人生徒が通っていたが、昨年9月以降、状況は一変していた。経営者は「生徒が激減してしまった」と明かす。