3M戦略〜「人が中心」の通信サービスの実現へ

小西:またauは、3M戦略(マルチデバイス、マルチネットワーク、マルチユース)を顧客視点で捉えた「スマートパスポート構想」を掲げて、総合通信ネットワーク事業者としての強みを活かした先駆的なサービスを打ち出してきました。事業戦略とブランド戦略が一貫した取り組みだったことが、成功のポイントだったのではないでしょうか。

:固定やケーブルテレビ回線などを持つ総合通信ネットワーク事業者として、通信契約の一元化を図ることで、シンプルでお得なネットワークの価値を実現する「スマートバリュー」の提案を業界に先駆けて行いました。

【菅隆志(KDDI(株) 理事 コミュニケーション本部長)×小西圭介対談】<br />スマホの世界をもっと楽しくする<br />auが掲げる「あたらしい自由。」小西 圭介(こにし・けいすけ)
(株)電通ブランドクリエーションセンターのチーフコンサルタント。2002年米国プロフェット社に出向し、デービッド・アーカーらとグローバル企業のブランド戦略構築に携わる。現在戦略コンサルティング部のチーフコンサルタントとして、数多くのクライアントのブランド・マーケティング戦略サポートを行うとともに、多数の講演、執筆などで、デジタル時代の新しいブランドおよびマーケティング戦略モデルを提唱している。著書に「ソーシャル時代のブランドコミュニティ戦略」(ダイヤモンド社)。
電通ウェブサイト内「電通人語」でもコラム連載中。

小西:携帯電話や固定をはじめさまざまな回線契約がどんどん増えて、家庭の通信費全体が知らないうちに膨らんでしまいがちですが、こうした悩みに応えるユニークな提案で、家族ごと契約を変更する人も増えました。

:実際にスマートバリュー契約数は12月末時点のau契約数で285万、期末で310万件を見込むなど、ケーブルテレビ各社との提携も含め、予想を上回るご支持をいただき、家族全体の携帯電話、固定電話も含めた連鎖的な契約拡大につながっています。今後、通信サービスがますます世帯材になる中、われわれはご家庭の通信サービスを一括してシンプル、リーズナブルで便利に使っていただける提案でパートナーになることを目指しているわけです。

小西:また、数多くのスマホのアプリを定額(390円)で好きなだけ使え、セキュリティも安心な「スマートパス」も、業界に先駆けた革新的な提案でした。その後の映画・音楽(ビデオパス・うたパス)などのコンテンツ提供も含めた定額サービスは、業界の牽引役にもなりましたね。

:スマートパスはサービス開始1年で500万契約を超え、スマホを購入した人の8割以上が利用するスタンダードになっています。他社も追随する中、アプリ定額サービスの代名詞となりつつあるのはうれしいことです。

小西:スマートバリューもスマートパスも、スマホやタブレット、PCやテレビも含め、端末やネットワークに縛られずシームレスに通信サービスやアプリ、コンテンツなどを利用できる、「楽しむ自由」を実現しています。

:まさにその点がポイントです。われわれauが目指しているのは、デバイスやOS(オペレーティングシステム)、ネットワークを超えて、誰もがいつでもどこでもシームレスにつながって楽しめる、「人が中心」になった通信サービスのあり方です。この考え方は、お客様自身が回線を意識せずその場その場で接続するシームレスなネットワーク技術の進化にも表れています。