運命の偶然?
3月27日の東京で相次いだ重大発表

 どうやら、時代の変わり目のようだ――。

 2013年3月27日(水)、東京。
 桜のつぼみに、冷たい雨が降り注ぐ。

 午前10時、東京タワー近くの東京プリンスホテル。慶応大学発のベンチャー企業として知られる、株式会社SIM-DRIVEが毎年恒例の記者会見と関係者の懇親会を開催した。名目は「先行開発車事業第3号車発表会/先行開発車事業第4号開始発表会」だ。

慶大発SIM-DRIVE、テラ、三菱自動車、<br />さらに米フィスカーまで……<br />一気に転換期を迎えたEV産業の行方SIM-DRIVE社の先行開発事業第3号車、「SIM-CEL」。1号車、2号車に比べて、外観は実験車両のイメージが強い Photo by Kenji Momota

 その冒頭に登壇した、同社会長でありベネッセホールディンクス取締役会長である福武總一郎氏は、挨拶をこう締めくくった。

「お陰様で、(1号~4号まで)多くの企業様のご参加をいただき、SIM-DRIVEはEVベンチャーとしてそれなりの実力と名声を得るまでになりました。そして、このような(1号~3号という)先行開発車を造ることができました。で…、我々経営陣としては、さらに経営力を高めたい、もっと言えば、先行開発車の開発のみならず、本格的な実用車両に向けての開発をすべく、新たな経営陣を迎えて経営強化をすることになりました。その布陣につきましては、後ほどパーティ(昼食懇親会)の時にご紹介させていただきます」。

 同社については本連載でこれまで、度々紹介してきた。

 ちょうど1年前には、第107回にて「2号車発表会/3号開始発表会」を掲載。その取材時、福武会長は「4号車は“エリーカ”のようなスーパーカーをやりたい」と語っていた。“エリーカ”とは、同社を創業した清水浩氏が2004年に発表した、8輪スーパーEVだ。