海運バブルに乗って稼ぎまくった商船三井に、ツケが回ってきた。前期(2013年3月期)、1010億円の事業改革損失を計上することで、過去最悪の1770億円の最終赤字となり、2期連続の赤字が確実となった。同時に、かつてライバル・日本郵船を引き離し同社の強さの象徴でもあったハイリスク・ハイリターン傾向は影を潜め、安定志向を強めつつある。(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

 海運大手の商船三井が、前期(2013年3月期)の最終損益で、1770億円という巨額の赤字を計上する。

 2期連続の赤字で、同社が1000億円を超える巨額の赤字を出すのは、初めてのことである。

 商船三井の先行きに黄信号が灯ったのは、第2四半期の業績を開示した昨年11月下旬のこと。海運市況が低迷しているとはいえ、海運大手3社のうち、日本郵船、川崎汽船の2社が黒字を確保したのに対し、商船三井だけが赤字となったからだ。

 商船三井がいわゆる“海運バブル”の傷をどこよりも深く負っていたことが明らかになった。

 04~08年度、中国の鉄鉱石需要の急拡大で世界中の船が極度の供給不足になったため、海運市況が高騰する海運バブルが発生した。その時代、商船三井は最大のライバル・日本郵船を大きく上回る巨額の利益を稼いだ(グラフ参照)。

 安定志向の強い日本郵船に対して、ハイリスク・ハイリターンを追求した商船三井の戦略が奏功したためだった。