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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

長崎屋・キムラヤセレクト買収で考えるM&Aの成否

永沢 徹 [弁護士]
【第1回】 2007年10月17日
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 ディスカウントストアのドン・キホーテが、スーパーマーケットの長崎屋を買収することで合意した。長崎屋は再上場を目指す方針で、ドン・キホーテもこれを支援していくという。

 ドン・キホーテにとってもメリットは大きく、少なくとも株主に好感される買収だと考える。長崎屋の従業員にとっても、小売のプロのドン・キホーテ傘下となることでの安心感もあり、企業価値を向上させるモチベーションにもプラスに働くはずだ。

 ともに流通業同士という、同業者による買収であるという点では、先月ヤマダ電機がディスカウントストアのキムラヤセレクトを買収したケースと比較的近い。

 キムラヤセレクトの場合は外資系投資銀行が、長崎屋の場合はプリント基板メーカーのキョウデンが、それまでの大株主であった。彼らが株を一旦買い上げて、最終的に同業の流通業者に売却する、という同一のパターンである。

 同業者による買収の場合、仕入れを考えると統合のメリットは理解しやすい。長崎屋が単独で商品を仕入れるよりは、ドン・キホーテという枠の中で仕入れたほうが確実に安くなる。キムラヤセレクトも、ヤマダ電機傘下となることで、家電に関しては仕入れのコストダウンが図れる。流通業の場合、バイイング・パワーが増すことの意味は特に大きい。

 また、4割以上の株式を保有するとグループ会社ともみなせるし、加えて人的な関係も強化し連結子会社になれば、そのメリットは格段に高まる。仕入れ窓口が同じグループ内となるので、確実に仕入れ値が下がり、1+1が確実に2以上になるスキームが描きやすい。

 2つのケースとも、株主が変わることによる企業価値向上が見えやすい事例といえるだろう。プリント基盤メーカーよりも、ドン・キホーテという同じ流通業者であれば、経営改善におけるシナジーも生まれる。ファンドや別業界の企業による所有のままでは、やはり買収による相乗効果は上がりづらい。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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