日本では、もはや日常の買い物の場所としておなじみの100円ショップ。実は今、中国でも100円ショップとよく似た業態の店舗が続々と登場しているのをご存じだろうか。その1つが、中国国内で285店舗(2013年2月27日現在)を展開中の「一伍一拾」だ。今回も前編に引き続き、弊社中国メルマガでもコラムを執筆していただいている(中国版100円ショップ)一伍一拾チェーンの富井伸行氏に話を聞き、同氏が中心となって進めている「主要店舗の売上を平均50%増加させた一伍一拾の改革改善活動」をご紹介する。

旗艦店の売上を平均50%増にした
リモデリングの全貌

――実際、現在富井さんが中心になって進めている店舗のリモデリングによって、かなり売上が上がっているようですね。

中国版100円ショップ「一伍一拾」の<br />売上を50%アップさせた日本人現場監督の秘策<br />――富井伸行・上海智造空間家居用品有限公司 総経理特別助理(後編)とみい・のぶゆき
上海智造空間家居用品有限公司 総経理特別助理。ニトリで17年間修行を積み(海外品質部長、海外物流部長、海外商品部長)を経て、現在は一伍一拾総経理特別アシスタント。NEWモデル店舗のブランディング&作業標準実行責任者。

 はい、昨年後半から旗艦店を中心に、一伍一拾店舗のリモデリングを進めています。店を一旦クローズして、床、壁、天井、商品、POPなど全て改装する「100%改装」店舗、店は閉めずに入口、照明、POPだけ変える「25%改装」店舗、そしてその中間など、いくつかのパターンで改装をして結果を検証しながら進めています。おかげさまで、これまで改装を行った9店舗の旗艦店の売上が改装前と比較して平均50%増えています。

 リモデリングをした結果として分かったのは、売上が大きい店舗は思い切って100%改装、売上がそれほど大きくない店舗は25%改装にするのがよいということです。特に「床」と「照明」がポイントですね。

――リモデリングで特に注力していることはなんですか?

 店頭で、「泥臭く」商品の魅力をアピールすることです。

 一伍一拾で販売している商品には、3つの特徴があります。

①安い(5~30元)
②カワイイ(商品横断的にグリーン、ピンク、ブルーなどのカワイイ色を使っている)
③機能的(便利で、使い勝手がよく、おもしろい)

 これまでは、この商品の特徴、魅力を伝える努力が不十分でした。特に「③機能性」をもっとしっかりアピールすれば、売上は確実に増えます。今までは商品の魅力や使い方は、商品パッケージの裏に申し訳ない程度に書いてあるだけでした。それを、手書きのPOP、商品写真などを使って分かりやすく説明するだけでも、お客様に伝わる度合いがかなり改善されます。