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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

不動産税の導入で偽装離婚が急増
中国デベロッパーはバブルを避けて海外進出

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第151回】 2013年4月18日
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 中国の不動産市場が最近、不思議な動きを見せている。不動産価格が上昇し続ける市場を見て、中国政府が一連の措置を講じ、その上昇に歯止めをかけようとした。

離婚届を提出する長蛇の列

 しかし、主要都市での不動産価格はそれほど抑えられなかった。それを見た中国政府は、不動産市場の引き締め策として、急に固定資産税の一種である不動産税(房産税)の導入に踏み切った。これで、住宅を売買する時、20%のキャピタルゲイン税を払わなければならなくなった。もちろん、居住用の住宅一単位のみ、居住期間5年以上などの条件を満たせば、その房産税が免除されるという特例も設けられている。

 そのあまりにも乱暴な導入措置に対して、上海などの市民たちは一斉に偽装離婚といった離れ業で対抗している。つまり、夫婦で所有している複数の住宅の所有権を離婚という形で分割して、20%のキャピタルゲイン税を払わずにすませようといった算段だ。離婚した夫婦は、不動産の売却手続きが終われば、再婚しようと考えている。

 だから、上海、北京、武漢、南京、寧波などの大都市では、離婚届を提出する長蛇の列が婚姻登録所の前にできたという、笑うに笑えない光景が見られている。この悪税のために、これまで無事に営まれてきた家庭が、人為的離婚によって空中解体してしまうといった悲劇も、これから発生するだろうと心配されている。

だぶつく住宅の在庫

 一方、これまで中国の不動産価格を人為的に吊り上げて、暴利を貪っていた「温州商人」たちはこの頃、苦しい立場に追い込まれている。

 温州の不動産価格の下げ幅は、今年に入ってからすでに3ヵ月間も中国一となっている。ピークの価格と比べ、豪邸の販売価格はすでに半額近く落ちてきた。普通の住宅も1平方メートルあたり1万元(約15万円)も下がっている。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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