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4月19日 18時0分
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欧州の政治リスクと動かないECB - 村上尚己「エコノミックレポート」

来週の重要経済指標、主要企業決算についてPDF版のレポートで解説しています


フランクフルトに続いて、現在、ロンドンにおいて欧州経済や金融市場をテーマに、ミーティングを続けている。フランクフルトではユーロ圏のリーダーであるドイツ側からの考えや意見が議論の中心になったが、ロンドンにおける面談者は金融市場の変化に敏感な方が多く、マーケットの見方についてより幅広い範囲に話題が及んだ。

9月に予定されているドイツの総選挙が、再び市場を混乱させる要因になるかという点については、4月17日にお伝えしたが、フランクフルトで聞かれた声と同様に、これは大きなリスクにならないとの見方が多かった。唯一のリスクシナリオは、「反ユーロ体制」を明確に訴える政党が第三極となり、これと次期メルケル政権が連立を余儀なくされるシナリオだが、現段階でその可能性はかなり低いようである。

中には、ドイツの選挙がポジティブサプライズをもたらす可能性を指摘する面談者もいた。次期政権が、メルケル率いるCDUではなく、中道左派SPDが小政党と連立を組んで政権を奪取し、より労働者の立場を重視する新政権が誕生する展開である。この場合、メルケル首相が距離を置いている「ユーロ共通債」の早期導入が現実味を帯びる可能性がでてくる。ドイツが、南欧諸国に対する財政移転を進める政策であり、ユーロ経済の停滞を和らげる可能性がでてくるためだ。

一方、ドイツの選挙は無難に通過するとしても、イタリアの政局が未だに展開が読めないことから、夏場にかけてイタリアの政局が、市場にショックを及ぼすリスクを指摘する声が複数聞かれた。この見方には、同国の政治を詳しく調査しているイタリア人エコノミストも含まれるのだが、彼に言わせると「イタリア人の私でも全くわからないんだけど」とのこと。

だから、どの程度の生起確率を想定すべきか判断しかねる。2012年のギリシャ離脱シナリオほどの大きなショックにはならないにしても、仮に、米国を中心に世界経済回復の足踏みが鮮明になり市場心理が不安に傾くことになれば、イタリアの政局動乱をきっかけに欧州への懸念が浮上する可能性もあることを念頭においた方がよさそうである。

また、筆者は、ユーロ経済が直面する停滞を打開するために、米英日と同様にECB(欧州中央銀行)による大規模な金融緩和政策、あるいはドイツなどの拡張財政政策が必要と認識している。それらが実現しなければ、未だに南欧諸国の金利は高く金融環境が引き締め的であるため、南欧諸国の大幅な景気の落ち込みが続く。であれば、各国の政治がいつまでも安定せずに、ユーロシステムへの懸念が再び台頭しかねないからである(グラフ参照)。


ただ、ロンドンにおけるミーティングでは、ECBが米日型の金融政策に踏み切ることを予想する声はほとんどなかった。もはや、ECBの金融政策は、政治的にユーロシステムを維持するという政治的な意向でしか動かず、マクロ経済安定化のツールとしての役割は期待できない、という見方が主流になっている。

この点について議論を進めると、「ドイツを中心としたコア国(インフレの恐れがある)への配慮も重視しなければいけない。ECBはディレンマに陥っており対応は難しい」あるいは「最適通貨圏ではないユーロ経済圏は、そもそも根本的な欠陥を抱えている。ECBの対応は必然」、など、その考えの背景は面談者によって微妙に異なることが判明した。いずれにしても、危機が再燃する前に、ECBが自ら行動を変化させるシナリオは、どうやら期待できなさそうである。

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(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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