株式レポート
4月19日 18時0分
バックナンバー 著者・コラム紹介
マネックス証券

アベノミクスのアキレス腱 - リスク・シナリオ - - 広木隆「ストラテジーレポート」

超悲観シナリオは蓋然性が低い

アベノミクスのアキレス腱だの、リスク・シナリオだのと書くと、「制御不能な悪いインフレが起きる」とか「国債が暴落して(金利が急騰して)財政破綻の危機に陥る」といったような、極端な悲観シナリオを想起される読者もおられよう。もちろん、「絶対」ということは絶対にないから、そうしたシナリオの示現確率がゼロでない以上、絶対そうならないとは言い切れない。然るに、筆者はこれまでも述べてきた通り、そうした悲観シナリオの発生確率は低いと考えている。

ここではそう考える根拠をいちいち議論することはせず、次の3点を指摘するにとどめたい。そして、その3点の正当性を納得していただければじゅうぶんだと考える。1つ目は、仮にそうした悲観的な方向に向かうとしても、最悪の事態に陥るまでには相当な時間を要するという点である。すぐにハイパーインフレになったり、ましてや財政が破綻するわけではない。そもそも2%のインフレ目標はおろかデフレ脱却すら疑問視されている状況である。本当にインフレが問題になるなら、いくらでも対応や軌道修正が可能である。

2つ目は、なぜ時間がかかるのかという1つ目の理由でもあるのだが、経済的事象を含めものごとには、すべて二面性があるからだ。例えば、円安になれば自動車産業など外需の製造業は潤うが、エネルギー、食糧、原材料の輸入にはマイナスだ。インフレには悪いインフレと良いインフレがあるが、デフレに良いデフレはない、と一般に言われる。しかし、モノが安く買えるというのは良い面でもある。確かに、弱者にとってインフレは税金のようなものだから、物価が安定しているに越したことはない。

金利については明白である。借金する身には金利上昇は困る。逆に貸す方、資産を運用する方にとってはプラスである。何度も繰り返し述べているが、「日本が抱える1000兆円の借金」というのは、人々の不安を煽るための言葉であって、正しくは政府部門の債務の額である。企業と家計のバランスシートには政府債務残高を上回る資産があり、よって日本という国全体は純債権国である。「純債権国にとって金利上昇は国益である」という言葉を以前にも紹介した通り、金利がこれから上昇するなら、それによって恩恵を受ける主体が大勢いる。金利上昇による利払い負担の増加で財政は苦しくなるだろうが、それをファイナンスしている企業・家計は潤うのである。
これだけカネ余りの運用難の時代である。長期国債の金利が3%になれば、喜んで買う投資家は大勢いるだろう。何しろ、短期金利はゼロだから、タダ同然の調達コストで為替リスクなしのキャリートレードで労せずして稼げるわけだから。黒田・日銀による「異次元緩和」で国債市場が混乱し、日銀が長期国債を買うと言っているのに、逆に長期国債が売られ長期金利が上昇したのは、端的に言って、日銀が長期金利を「つぶし」にかかるならば、そこにはもう利回りとしての魅力がないからである。利回りが上がってくれば、また投資ニーズは復活するだろう。少なくとも、利回りがあるなら買いたいという主体が大勢いる以上、一本調子で金利が急騰を続けるというシナリオは考えにくいのである。

悲観論者は国債を買いたいという向きがそのうちいなくなるという。それは国債価格の暴落を恐れるからだという。しかし、そうした議論は自己循環論法、あるいは自己撞着的である。下がるから売る、売るから下がる、堂々巡りの議論をしているだけだ。価格(債券では利回り)自体が投資ニーズを生むという事実を見逃している。

そして3つ目のポイントは、「制御不能な悪いインフレ」とか「国債暴落、財政破産」といったような、極端な悲観シナリオが示現するケースは、日本経済が辿るパス(道筋)のなかで、すべて最悪のルートを辿り続ける、文字通り極端な場合であるということだ。例えば円安になっても日本企業の業績が伸びず税収も増えないケース。金利が上昇して住宅ローンを変動金利で借りていた人たちの自己破産が急増するケース。債券を大量保有していた金融機関が破綻して金融危機が起こるケース。様々な経済要因の吉凶両面あるうち、すべて凶の目が出るということを想定しているのと同義である。無論、可能性がないわけではない。しかし、ものごとの悪い面ばかりが重なるというのは、確率論としては相当低い。悪いところだけ見ている「悪いとこ取り」である。

例えば、変動金利で住宅ローンを借りている人の債務残高総額と家計が持つ不動産の資産価値合計とどちらか大きいか。インフレになるということは債務の実質価値は減り、資産の価値は上がるということだ。金利が上がるというのは、負債を持っているひとには苦痛だが、利子所得者には朗報である。ものごとには功罪両面があり、悪いことばかりが起こるというのは確率的に極めて低い。それが極端な悲観シナリオが起きないだろうという理由である。

で、あるならば、極端な楽観シナリオもまた確度としては高くない。例えば、デフレを2年で脱却し、成長戦略で日本経済は復活を遂げ、株も青天井に上がり続け我々の給料も大幅に増えるといったバラ色のシナリオだ。こうした100点満点のゴールもまた難しい、というのがフェアな議論というものだろう。

アベノミクスのアキレス腱

アベノミクスのアキレス腱は何か?それは、アベノミクス3番目の矢とされる成長戦略が不発に終わることである。但し、それ自体は別に大きな問題ではない。本当の問題は、成長戦略が不発に終わることで「アベノミクスは失敗である」というようなメディアの論調が高まること - それが真のリスクだと考えている。

成長戦略は不発に終わるべくして終わるだろう。それ自体は、実はみんな薄々感づいていながら口にしないだけだから、大きな驚きではない。問題は、その自明とも思われることをことさらのように論(あげつら)って、「アベノミクス失敗」の烙印を押したがるメディアの論調であり、その論調の高まりを利用した(確信犯的な)ヘッジファンドによる「日本売り」である。欧州債務危機が深刻化したのと同じ構図で同じ原理が働くだろう。それが最も怖いシナリオである。

「二の矢、三の矢を継ぐ」という言葉からの連想だろうか、まるで三段式ロケットのようにアベノミクスの3本の矢が順繰りに放たれるかの印象を持つ方が多いが、この3本の矢はまったく独立のものである。

アベノミクス3本の矢のうち、1本目の大胆な金融緩和については、日銀の新執行部による「異次元緩和」の決定がなされた。矢は既に放たれたと言えるだろう。評価については、リフレ派、反リフレ派の「神学論争」とも言える議論が続いているが、とりあえず市場は株高・円安で応えた。
2本目の積極的な財政政策については、先に成立した昨年度の補正予算に続いて、一昨日、今年度予算が衆院を通過、事実上の成立である。昨年度の補正と合わせた「15カ月予算」になり、総額は100兆円を超える。しかし、その効果に即効性はない。なぜなら予算は成立しただけでは、カネがばら撒かれることにはならないからだ。予算を使いたいひとが、厚さ数センチに及ぶ膨大な申請書を役所に提出し、それが認可されてはじめて予算執行の運びとなる。100兆円の予算を使い切る(しかも有効に使い切る)にはいったいどれだけの労力と時間がかかるだろうか。

1本目の大胆な金融緩和についても、経済学的な論拠はなく、「壮大な実験」「政治的なギャンブル」との声が上がる。2本目の積極的な財政政策でも景気は刺激されていない。それでも世の中のセンチメントが改善しているのは、まさに「期待先行」だというわけだ。

一般的な世論はこうだろう - 金融緩和だけで脱デフレは不可能。重要なのは成長戦略だ。経済成長なくして財政再建も果たせず、財政健全化がなければいずれ国債売りで日本は破綻の道を進む。期待先行で株高や消費の好調さが維持されているうちに、3本目の矢の発射台に点火し、成長戦略を離陸させないと、アベノミクスは瓦解する - 

「成長戦略」とは何か

成長戦略が大事。一見、まともな議論のように聞こえる。猫も杓子も成長戦略と言うが、では、成長戦略とは具体的に何を指すのだろうか。ここはあれこれ詮索するのではなく、安倍総理ご本人の弁を聞いてみよう。安倍総理は今年1月に官邸で開催された、第1回目の規制改革会議に出席された。その席で安倍総理はあいさつし、次のように述べた。

<規制改革は安倍内閣の一丁目一番地であります。「成長戦略」の一丁目一番地でもあります。
 前政権における規制改革は、どちらかと言えば、規制改革のための規制改革になっていたわけでありますが、安倍政権においては、目的ははっきりしているわけでありまして、経済活性化のための規制改革であります。そして規制改革により経済の成長、そして雇用を作っていくということが目的であります。その目的を明確化させていただきたい、このように思います。
 産業競争力会議では、いくつかの重点分野で国民のニーズを踏まえた戦略目標を設定をしていくことになっております。例えば、健康で長生きしたいという国民のニーズに応える社会を実現し、これを国際的に展開していくことで我が国経済の発展を目指していきます。
 規制改革会議ではそうした戦略目標を達成するため、規制改革の実現に重点的に取り組んでいただきたいと思います。
 そうした重点分野において、我が国で民間の方々が活動することにおいて、最も魅力的な環境を提供する国となるように目指していきたいと、このように考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 目指すのは、世界一でございます。
  委員の皆様方におかれましては、あるべき姿に立ち返った、骨太の議論を行っていただきたいと、このように思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。>

目指すのは世界一、とはどういう意味かよく分からないが、少なくとも以下のことは分かった。

1. 規制改革は安倍内閣の一丁目一番地であり「成長戦略」の一丁目一番地である。すなわち、大雑把に言えば「成長戦略」、イコール、「規制改革」である。

2. 「成長戦略」を推し進める会議体は二つある。ひとつが産業競争力会議で、もうひとつが規制改革会議だ。

3. この二つの会議体の棲み分けとしては、産業競争力会議はその構成メンバーを見ても想像がつく通り、ざっくり言って「大上段」の議論を行うところであり、実務的な議論を担うのは規制改革会議である。

この二つの会議体の上部組織は何かというと、日本経済再生本部である。日本経済再生本部は、「我が国経済の再生に向けて、経済財政諮問会議との連携の下、円高・デフレから脱却し強い経済を取り戻すため、政府一体となって、必要な経済対策を講じるとともに成長戦略を実現することを目的として、これらの企画及び立案並びに総合調整を担う司令塔」との位置づけだ(首相官邸HPより)。
「成長戦略」を推し進めるのは誰か

アベノミクスの「成長戦略」推進の原動力となるのが、経済財政諮問会議と日本経済再生本部であり、これらを統括するのが、経済再生担当大臣である甘利明大臣である。甘利大臣は、言わずと知れた自民党の「経産族」の象徴で、彼の向こうにいるのは霞ヶ関の官僚である。

もっと言えば、首相の側近、いわゆる主席秘書官である政務担当の首相秘書官は、経済産業省の今井尚哉氏である。将来の事務次官候補のひとりと目される、82年入省組のエースだ(2006年の第1次安倍内閣でも事務担当秘書官を務めた)。他に5人いる事務担当秘書官は、外務省、財務省、防衛省、警察庁、経済産業省の各省庁から1名ずつ内閣官房に出向する形で就任する。財務省出身者が事務秘書官の中で筆頭格とされ、他の事務秘書官よりも年次が上の者が就くのが通例だが、経産担当の柳瀬唯夫氏は84年入省、財務担当秘書官の中江元哉氏と同期、すなわち同格である。

ちなみに、今井氏の前職は資源エネルギー庁次長、柳瀬氏は原子力政策課長時代に「原子力立国計画」をまとめた人物。ふたりとも筋金入りの原発推進派だ。

こうした布陣をみても安倍政権における経済政策は、甘利大臣=経産官僚が司る構図である。

産業競争力会議にせよ規制改革会議にせよ、会議のメンバーは民間企業のトップと学者、研究者などで構成されているが、その実務は官僚の手に委ねられている。なぜか?規制改革というものを実務の面から分かりやすい言葉で言い換えるならば、それは「役所のルールを変える」ということにほかならないからである。役所のルールを変えるというのは、実務的に役人の手によらなければならないからである。

整理しよう。

・アベノミクス3本目の矢、「成長戦略」とは規制改革である。
・規制改革を推進する議論の場を掌握するのは、甘利大臣=経産官僚ラインである。
・規制改革とは利権の配分を変えること、既得権益を見直すことにほかならない。
・官僚の本分とは自分たちの「省益」を優先すること、すなわち既得権益を守ることである。
・その官僚たちに既得権益を見直しましょうと言っても、遅々として進まないのは明白である。

ではどうなるか?抜本的な、いわゆる「骨太な」規制改革などは進まず、膨大な個別案件の積み上げのなかで、あるものは進展し、あるものは進まず、場合によっては規制がかえって強化されるものも出てくるだろう。なぜなら、あらかじめ絵に描いた「落とし所」に落とすのが官僚の仕事だからである。

例えば原発問題。「原発ゼロはあり得ない」とする安倍政権で、経産省の原発政策スペシャリストが政権の枢要な役所についている以上、再稼働に向けた「落とし所」を探ることになる。全国で54基あった原発は4基がダメになって、現在50基。「原発ゼロはあり得ない」じゃあ、いくつなら許されるのか。「落とし所」は、「犠牲」になってもらう原発をいくつ選ぶのか、というものだろう。10基かそこらを廃棄する。その代わりに、40基を再稼働させる。「10廃棄、40再稼働じゃ朝○新聞がうるさいから20廃棄30再稼働にしておくか」 - おそらくそんな線を探っているのだろうと推察する。
延々と続く規制改革議論

規制改革議論は今に始まった話ではない。例えば蓮舫氏が仕切る「事業仕分け」で有名になった民主党政権時代の行政刷新会議も規制改革会議の脈流のひとつである。もとをただせば90年代半ば、オリックス会長の宮内義彦氏を委員長とした「規制緩和委員会」が源流である。その後、「規制改革委員会」に改称され、以来、脈々と続けられてきた。

現在の規制改革会議の主要テーマは4分野で、それぞれのワーキング・グループで議論されている。その4つの分野とは、

健康・医療
エネルギー・環境
雇用
創業等

である。そして、それぞれの分野に10〜20程度の項目が具体的検討事項として乗っかっている構造になっている。例えば、エネルギー・環境のなかに電力の小売全面自由化だとかエコカーの普及などが挙げられ、雇用のなかで、実は待機児童の問題も俎上に上げられたりする。保育施設の充実が女性の就業支援に通じるからだ。なかでも安倍首相の関心が高いのが解雇規制だという。

しかし、この主要4分野、初期の規制改革議論のときからまるで変わってないのである。その時々において、重点の起き方は多少変わるが、代々同じメニューなのだ。例えば、小泉内閣の「骨太の方針」では、医療、環境、人材などが取り上げられた。その後、観光立国だとか、ITだとか細かな追加はあるものの、中心課題は変わっていない。

嘘だと思う方は内閣府のホームページで資料を閲覧されたい。内閣府ホーム > 審議会・懇談会等 > 規制改革と辿ると、関連リンクという項目があって、そこには民主党時代の行政刷新会議から旧規制改革会議、さらにその前身の規制改革・民間開放推進会議と歴代の規制緩和検討の記録が残されている。そこにあるファイルを見れば、日付が違うだけで中身はまったく一緒ということが分かるだろう。

規制緩和を実際にハンドルするのは役人で、役人に利権の配分を変えようといっても、牛歩戦術で抵抗されるのがオチだという記録なのである。

このことだけをとっても、規制緩和というものが一気呵成に進まないものだという事実が分かるだろう。

選挙制度の問題

昨日、安倍首相は日本テレビの情報番組「スッキリ!!」に出演し、今年度からの5年間で待機児童ゼロを目指す考えを表明した。子供が1歳半になるまで認められている育児休業を3歳まで延長することも方針として決めた。本日付の日経新聞は、「働く女性に手厚い支援」と報じている。

もちろん大事なことである。しかし、その優先度、取り組みの本気度はいかばかりだろうか。カネがすべて、とは言わないが、現実問題として、いったいいくらの予算を張り付けるつもりなのだろう。

平成25年度厚生労働省予算案を見てみよう。主要施策の真っ先に「子育て支援の充実」と掲げられている。「待機児童解消のため、保育所などの受入児童数の拡大を図るとともに、地域のすべての子育て家庭を支える機能を強化し、子どもを産み育てやすい環境を整備する」とのことだ。そして、その予算は保育所だけでなく放課後児童対策まで含めて、総額4,927億円である。

1番目の項目、「子育て支援の充実」が4,927億円だ。
次に2番目の大項目として「医療・介護」が挙げられている。この予算は、医療が10兆5,500億円強、介護が2兆5,000億円弱である。
次の3番目の大項目が「年金」で、その予算は、10兆4,000億円強である。

簡単に言うと、高齢者対策予算が23兆5,000億円。子育て支援は5000億円弱。高齢者予算の2%である。平成25年度厚生労働省予算案(一般会計)の社会保障関係費の総額は約29兆円。そのうち8割以上が高齢者対策で、1番目に挙げられた項目「子育て支援の充実」には全体の1.7%しか充てられないのである。
この差は何かと言えば、もちろん「票」の差である。高齢者が選挙の票を握っている以上、政治家はそこに手厚くカネを配分する。日経新聞は、「働く女性に手厚い支援」と書くが、その手厚さはカネの面で言えば高齢者向け対策のわずか2%の「手厚さ」である。

規制改革で利権の配分を変えよう、既得権益を打破しよう、と言ったところで、政治家は票を握っているところを優先する。安倍首相がTPPをスタンドプレーのごとく通してしまったのは、もはや農家(農協)の票のインパクトが大きくないからである。

しかし、高齢者は間違いなく大票田である。総務省が16日発表した2012年10月時点の推計人口によると、数値を公表し始めた1950年以降、65歳以上の高齢者(老年人口)が初めて3千万人を超えた。ただでさえ若い世代の「分」が悪いのに、参政意欲の面でも若者は自分で自分の首を絞めている。最近、日本の選挙における投票率の低さが話題になるが、国際的に見て日本だけが異常に低いというわけではない。但し、問題なのは20代30代の若年層の投票率が悲惨なまでに低いのである。

これはもう選挙制度を変えるしかないだろう。世代別、性別に投票を行って、その世代の利権を、女性の立場を代弁してくれる政治家をそれぞれ選ぶのだ。選挙制度改革というと「0増5減」といった1票の格差問題という地域差の話ばかりが注目されているが、世代や性別の格差のほうがより問題ではないか。そして、それは(本来は)法を変えずとも、われわれ有権者の意識を変えれば改善できるはずなのだが。

希望と不安

希望がないわけではない。インターネットを使った選挙運動を解禁する公職選挙法改正案が今日、成立する。夏の参院選からウェブサイトのほか、ツイッターやフェイスブックなどソーシャル・メディア(SNS)を使った運動が解禁される。これによって若年層の政治意識が高まることを期待したい。票の流れを変えないと政治は変わらず、規制緩和など進むわけがない。

90年代からずっと構造改革、規制改革と叫び続け、それがまったく進んでいないのはなぜか?選挙があまりにも多かったからである。これだけ首相がころころ変わる国なのだ。そのたびに内閣が変わり、大臣が変わる。つまり役所のトップが変わるのだ。役所のルールを変えようという動きもその度に仕切り直しである。一方、政治家側も本腰を入れにくい。繰り返すが規制改革とは既得権益を変えること、利権の配分を変えることである。選挙に直面する政治家がそんなリスクを冒すわけがない。政治家のプレッシャーがなければ、基本的に役所サイドに規制緩和のニーズ(インセンティブ)はない以上、規制緩和が行われるわけがない。

今回は大きなチャンスだ。夏の参院選が終わればその後3年半は選挙がない(だろう)。これだけ長い間、選挙がないのは久しぶりである。このチャンスに、高い支持率を味方につけた首相・大臣が相当の気合をもって臨めば、成果がそこそこは期待できるかもしれない。

まず次のヤマは6月。経済財政諮問会議と日本経済再生本部が取りまとめ、政府としての成長戦略を明確に掲げるのだ。そして、その一部が自民党のマニュフェストとなって参院選になだれ込むことになろう。

おそらく自民党は参院選を大勝するだろう。不安は、その勝利に安住して自民党が昔の自民党のままでい続けるということだ。すなわち既得権益を守りたいというバイアスが強まることだ。そうなったらアベノミクス3本目の矢、成長戦略は完全に不発に終わる。

成長戦略=規制緩和なら、もともと「抜本的」な変革、大成功など期待していない。細かな個別案件の積み上げで、なかにはいくつかアピールできるものもある、その程度でよいのだ。だから、それを殊更、失敗と見立てる向きに弱みを与えないことが肝心である。

安倍首相は日本テレビの「スッキリ!!」に出演するのを自らオファーしたという。そしてその理由について、「なんとなく明るくて、その日にいいことがありそうな感じがするんです」と答えたという(僕は観ていない)。

そういう、ぼかしかたでいい。テレビに出て、20万人分の待機児童に対しての保育所を整えていくとか5年間で待機児童ゼロを目指していくとか女性の雇用促進が成長戦略の中心的な柱とか、世間受けすることをどんどんアピールする。それでいい。そうすれば、メディアにつけこむ隙を与えない。アベノミクスのアキレス腱を攻撃されずに、うまく世間を味方につけるのだ。それがアベノミクス成功の要諦である。なぜならアベノミクスの本質は「景気は気から」の一言に尽きるのだから。揶揄ではない。それは本当に偉大で重要なことである。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

■ご留意いただきたい事項
マネックス証券(以下当社)は、本レポートの内容につきその正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。当社が有価証券の価格の上昇又は下落について断定的判断を提供することはありません。
本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であり、当社の意見や予測をあらわすものではありません。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
当画面でご案内している内容は、当社でお取扱している商品・サービス等に関連する場合がありますが、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。
当社は本レポートの内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。当社でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動・金利の変動・為替の変動等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、マネックス証券のウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」(※)をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。
((※)https://info.monex.co.jp/policy/risk/index.html)

■利益相反に関する開示事項
当社は、契約に基づき、オリジナルレポートの提供を継続的に行うことに対する対価を契約先金融機関より包括的に得ておりますが、本レポートに対して個別に対価を得ているものではありません。レポート対象企業の選定は当社が独自の判断に基づき行っているものであり、契約先金融機関を含む第三者からの指定は一切受けておりません。レポート執筆者、並びに当社と本レポートの対象会社との間には、利益相反の関係はありません。

(マネックス証券)


マネックス証券
株式売買手数料(指値) 口座開設
10万円 30万円 50万円
100円 250円 450円
【マネックス証券のメリット】
日本株投資に役立つ「決算&業績予想」、信用取引ではリスク管理に役立つ信用取引自動決済発注サービス「みまもるくん」が便利。米国株は最低手数料5ドル(税抜)からお手軽に投資が可能で、米国ETFを通じて世界中に分散投資できる。投資先の調査、リスク管理、リスク分散など、じっくり腰をすえた大人の投資ができる証券会社と言えるだろう。一方、短期・中期のトレードに役立つツールもそろっている。逆指値ほか多彩な注文方法が利用できる上に、板発注が可能な高機能無料ツール「新マネックストレーダー」が進化中だ。日本株、米国株、先物取引についてロボットの投資判断を日々配信する「マネックスシグナル」も提供しており、スイングトレードに役立つ。
【関連記事】
◆AKB48の4人が株式投資とNISAにチャレンジ!「株」&「投資信託」で資産倍増を目指せ!~第1回 証券会社を選ぼう~
◆マネックス証券おすすめのポイントはココだ!~日本株手数料の低さ、ユニークな投資ツールが充実しているネット証券大手
マネックス証券の口座開設はこちら!

 

株主優待名人の桐谷さんお墨付きのネット証券!最新情報はコチラ!
ネット証券口座人気ランキングはコチラ!
NISA口座を徹底比較!はコチラ
株主優待おすすめ情報はコチラ!
優待名人・桐谷さんの株主優待情報はコチラ!

 

Special topics pr

ZAiオンライン Pick Up
[クレジットカード・オブ・ザ・イヤー2017]2人の専門家が最優秀クレジットカードを決定! 2017年版、クレジットカードのおすすめはコレ! おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードは、 本当は“ゴールド”ではなく“プラチナ”だった!? 日本初のゴールドカードの最高水準の付帯特典とは? 高いスペック&ステータスを徹底解説!アメリカン・エキスプレスおすすめ比較
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
じぶん銀行住宅ローン 「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」付帯サービスはプラチナカード顔負け!最強ゴールドカード 実力を徹底検証  アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カード 「アメリカン・エキスプレス」が誇る、高いスペック&ステータスを徹底解説!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

新理論株価で儲かる株
株主優待ベスト130
ふるさと納税ベスト86

1月号11月21日発売
定価730円(税込)
◆購入はコチラ!

Amazonで「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!


【株主優待ベスト130&新理論株価で買う株】
桐谷さん&優待ブロガー&ザイ読者が厳選!
 初心者も安心!株主優待ベスト130
失敗しない優待株の投資のワザ
●「優待+配当」利回りベスト30
少額で買える優待株ベスト30
権利確定月別の優待株ベスト 130
新理論株価まだ買える株68
年末までに駆け込め!ふるさと納税86
 3大カニマップ&寄附額管理シート付き! 
iDeCoつみたてNISAもこれが大事!
 騙されるな!投資信託選び10の落とし穴
●高配当&高成長の米国株ベスト12
地方上場の10倍株&佐川急便の投資判断
別冊付録!つみたてNISA完全ガイド

「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!

>>「最新号蔵出し記事」はこちら!

>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

Apple Pay対応のクレジットカードで選ぶ! Apple Payに登録して得する高還元率カードはコレ! 堀江貴文や橘玲など人気の著者のメルマガ配信開始! 新築マンションランキング
ZAiオンラインPickUP