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2030年のビジネスモデル

100年の時間軸を持った金融とは?――鎌倉投信が育む「希望の金融」

齊藤義明 [ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]
【第5回】 2013年4月25日
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 「株価や業績の話はしなくていいから、御社の存在価値について話して下さい」と鎌田さんは経営者に事前にお願いしていた。話を聞いていた受益者たちは、その企業の株価や業績ではなく、その企業の存在価値に対して関心を持つようになり、しかもその価値創造に一緒に参加している感覚と熱気とが生まれた。

投資先選定基準は「人」「共生」「匠」

 「結い 2101」の投資先企業選定基準は、「人」、「共生」、「匠」の3つである。「人」とは、障碍者、高齢者、女性などの人財を活かすとともに、社員のモチベーションを高めている企業。「共生」とは循環型社会を創造する企業で、環境、自然エネルギー分野や、農業、林業といった第一次産業分野や地域の活性化において優れた取り組みを行う企業。そして「匠」とは、グローバルな視野からみて付加価値の高い独自の技術、サービスを持っている企業だ。これら3つの基準から企業を評価して組入れ銘柄を決めている。

鎌倉投信の投資先選定基準

 また鎌倉投信では、投資によって得られる果実(リターン)を「資産形成」×「社会形成」×「豊かなこころの形成」の3要素で捉えている。

 すなわち株価や配当、基準価額といった数値上の結果だけでなく、「いい会社」に投資し「いい会社」が増えることによってもたらされる社会へのプラスのインパクト(社会的課題解決、地域貢献、雇用など)を投資の果実と捉えるとともに、そうした価値創造企業に主体的に関わっているという個人投資家の実感がこころの満足度を増大させ、ひいては人間性をも高めることにつながることが、大きな意味での「投資の果実」だと考えている。「バランスシート(貸借対照表)の外側に、社会や公共の利益、心の利益がある。良い投資は人格を磨きます」と鎌田さんは言う。

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齊藤義明
[ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]

ビジネスモデル研究者、経営コンサルティング会社勤務。政策・経営コンサルティングの現場でこれまで100本以上のプロジェクトに関わる。専門は、ビジョン、イノベーション、モチベーション、人材開発など。

2030年のビジネスモデル

未来のパターンを作り出す企業は、はじめは取るに足らないちっぽけな存在だ。それゆえに、産業の複雑な変化の過程で、その企業はときに死んでしまうかもしれない。しかし個別企業は死んでも、実はパターンは生き続け、10年後、20年後、新しい現象として世の中に広がる。2030年の日本につながる価値創造のパターンとは何か。現在さまざまな領域でその萌芽に取り組む最前線の挑戦者たちとのダイアローグ(対話)。

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