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4月23日 18時0分
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米政治リスクへの現地の感覚 〜限定的だが、アキレス腱も〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

今週、ワシントンとニューヨークで金融関係者や当局者と面談を行っている。2012年秋口から世界経済を引っ張る米国の経済・マーケットのリスク要因として、米政治混乱への懸念が混乱を引き起こす点が挙げられる。

例えば、2011年夏場に格付け機関による米国債の格下げをきっかけに、世界的に大きく株価が調整した。これは、格付け機関による「根拠レスな判断」が招いただけで、相場的には押し目買いの絶好の機会だった(グラフ参照)。


また、大統領選挙直後には「財政の崖」への懸念で株価がやや調整する場面もあった(これも押し目買いのチャンスだった)。現在、米国の株式市場は順調に上昇しているが、政治動乱が再び混乱を引き起こす可能性をどの程度想定すれば良いのか?そういう問題意識で、ミーティングを行っている。

現状、2012年末に懸念された「財政の崖」に起因した大混乱は遠のき、市場では余り警戒されていない。「共和党対民主党」の対決で大騒ぎした割には、極端な緊縮財政策を主張する共和党による「政治的パフォーマンス」が繰り広げられたに過ぎない、という認識が市場で強まっている。

ただ、「財政の崖」は回避されたが、現在米国経済には増税と歳出強制削減のダブルパンチで、年率1%超GDPを押し下げかねない、かなりの景気縮小圧力がかかっている。この緊縮財政があっても、1―3月のGDPは消費・住宅の復調で、堅調な伸びを保ったとみられる(今週末結果が公表される)。ただ、4―6月まで緊縮財政が米経済の足をひっぱるため、実は米経済にはダウンサイドリスクが残る状況は続いている。

実際に、現地でのヒアリングを総合すると、政治リスクへの懸念から市場が混乱したり、あるいは緊縮財政が米経済の回復を阻むリスクについて、悲観的な見方は聞かれなかった。

前者の政治リスクについては、例年どおり次の会計年度(2013年10月から)が始まる前の夏場に、財政政策を巡って与野党の対決が強まり、国債発行の上限に達する問題が政治交渉に使われると、2011年のように市場が混乱するケースも起こり得る。

もっとも、大統領選挙でオバマ大統領が勝利したことで、財政問題を材料に「政治ゲーム」を続ける共和党に対する世論の目は、一段と厳しくなっている模様だ。このため、共和党の強硬な態度が、再び混乱をもたらすリスクを強く指摘する声は小さかった。現在、税制や社会保障制度改革について、米議会で取り上げられているが、まだ議論は煮詰まっていないこともあり、当面は経済政策について両党の対立が深刻になり、政治発で混乱が起きるリスクは限定的というのが見方が多いようだ。

一方、後者の経済動向については、足元で相当な緊縮財政策が実現しているにも関わらず、米経済が崩れないのは、住宅市場の回復で米家計の支出が順調に伸びて、緊縮財政のネガティブインパクトを相殺しているためである。

本来なら、米FRBが大規模な量的金融緩和政策を続けている状況では、財政政策においても景気下支えを検討すべきだが、実際には望ましいポリシーミックスは実現していない。それでも、徹底した金融緩和による景気刺激効果が、昨年末からタイミングよく本格的に効き始め緊縮財政の悪影響が相殺され、なんとか安定成長を保っている、というところである。

先週のレポートで伝えた通り、欧州ではECBの金融緩和策が未だに機能不全に陥っており脆弱である。この欧州リスクが顕在化しない限り、米国では金融緩和策の支えで経済の回復はなんとか続くとみられ、その意味で米国発のリスクは限定的である。

ただ、仮に、欧州発の混乱が再び火を吹いた場合、米国では緊縮財政がアキレス腱になり、これまでのように世界経済の牽引役となるのは難しくなるかもしれない。現段階で蓋然性は高くないが、このリスクシナリオが依然残っていることを念頭に置いた方がよいだろう。

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(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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