旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理
【第45回】 2013年4月26日 車 浮代

平清盛の誕生の陰に「山芋」あり
世之介も愛した活力の源

 日本史上初めて、武士による政権を獲得した平清盛(1118~1181年)。

 その誕生に、山芋が大きく関わっていたことをご存知でしょうか?

鯛のとろろ汁(『鯛百珍料理秘密箱』より)
■材料/山芋…200g/鯛(切り身)…100g/酒…大さじ1/出汁…3/4カップ(150ml)/味噌…大さじ1/青海苔…適量
【作り方】 ①鯛を焼き、骨と皮を取り除いて身をほぐし、すり鉢でする。酒を加えて混ぜ、山芋をすり入れてよくすり混ぜる。②鍋に出汁を沸かし、味噌を溶き入れ、1に少しずつ加えてのばす。③器に盛り、青海苔を振る。

 昨年(2012年)のNHK大河ドラマ、松山ケンイチさん主演の『平清盛』をご覧になった方はよくご存じのことと思いますが、清盛は平氏の血を継いでおらず、伊東四朗さん演じる白河上皇が、中井喜一さん演じる平忠盛に下した子供です。

 『平家物語』にしっかりと書かれているこの史実(下され方はTVほどドラマチックではありませんが)、長年フィクションではないのかと疑われてもいましたが、滋賀県多賀町にある胡宮《このみや》神社から証拠となる文書が発見されたことにより、信憑性が高まりました。

 この、養子が決定づけられた大事な場面に、山芋は重要な役割を果たしています。

 『平家物語』を要約すると……。

 白河院が、妊娠中の愛妾を忠盛に下した時に、「生まれた子が女の子なら自分の子にするが、男の子なら忠盛の子として武士にせよ」とおっしゃったところ、彼女は男の子を産んだ。忠盛はこのことを白河院に伝えたかったが、話す機会がなかった。ある時、白河院が熊野詣に行くことになり、道中で休息を取った。忠盛は藪に入り、山芋のツルに生えるムカゴをたくさん採って袖に入れ、「いもが子ははふほどにこそなりにけれ(山芋の子がツルに這うほどになりました)」と上の句を詠むと、白河院はうなずいて、「ただもりとりてやしなひにせよ(たくさん盛り取って食料にせよ)」と下の句を続けた。それで忠盛はその子を我が子とした。

 ……とあります。

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旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理

栄養価の高い旬の食材を、あまり手を加えずにいただく――。これが江戸料理の醍醐味であり、健康長寿につながる正しい食のあり方だと思います。このコラムでは、江戸料理と健康をテーマに、食材ごとの情報とレシピをご紹介していきます。

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