良いモノであっても、売れないー―。今、中国に進出している多くの企業が、このジレンマを感じているのではないだろうか。実際、B2C分野において、自動車を除いて中国市場でローカルメーカーと張り合える企業は、ほとんどいないのが現状だ。このジレンマを見事に克服しつつあるアパレルメーカーがある。それが游仁堂だ。CEOの金田修氏は、財務省とマッキンゼー(パートナー)を経て、中国で自社ブランドのアパレル事業、オンラインマーケティング事業を立ち上げた。中国でモノを売る秘訣は何か、中国で通用する日本人の力は何か、話を聞いた。

成長市場での経験こそ
事業成長には不可欠

――金田さんは、なぜマッキンゼーのパートナーの仕事を捨てて、中国でビジネスを始めようと思ったのですか?

游仁堂CEO、金田修氏

 成長市場でビジネスをしたいと思ったからです。

 マッキンゼーでアジアの消費財流通業をコンサルティングするグループのリーダーの1人として日本、中国、韓国などでコンサルティングビジネスを行っていました。そのなかで、成長支援のプロジェクトばかりなのが中国、後ろ向きなプロジェクトが多いのが日本でした。

 事業を大胆に進めるには、市場そのものの成長率の問題もあるのですが、経営者が自ら事業の成長フェーズを経験していないできないことも実感しました。70年代の高度成長を経験した日本人経営者は高齢でも大胆です。年齢ではなく成長を経験しているかどうかなんですね。だとすれば、起業して大胆に事業を行なうなら、私自身も成長市場の中国で勝負すべきだと思いました。

 また世界中どこにいっても日本の商品はいいはずなのに、中国市場では勝てていないのが現状です。日系企業で頑張っているのはB2Bと自動車くらい。なんとか自動車以外のB2Cの分野でもこの状況を打破したいという思いもありました。