「リーダーシップを身につけるには1割の座学と9割の実践」(小林)

ダボス会議で活躍する次世代リーダー、大いに語る!<br />「教育と人材育成でわたしたちが目指すもの」松田悠介(まつだ・ゆうすけ)
Teach For Japan創設代表者。大学卒業後、体育科教諭として中学校に勤務。体育を英語で教えるSports Englishのカリキュラムを立案。その後、千葉県市川市教育委員会教育政策課分析官を経て、ハーバード教育大学院修士課程(教育リーダーシップ専攻)へ進学し、修士号を取得。卒業後、外資系コンサルティングファーム プライスウォーターハウスクーパースにて人材戦略に従事し、2010年7月に退職。Teach For Japanの創設代表者として現在に至る。 世界経済フォーラム(ダボス会議)Global Shapers Community メンバー。経済産業省「キャリア教育の内容の充実と普及に関する調査委員会」委員。著書に『グーグル、ディズニーよりも働きたい「教室」』(ダイヤモンド社)がある。

松田 ティーチ・フォー・ジャパンでは教師経験こそがリーダーシップを育てると考え、子どもの支援とリーダーシップ教育を両輪として活動していきたいと思っています。

小沼大地氏 私はクロスフィールズというNPO法人で「留職」というプログラムを運営しています。これは、企業で働く人材に開発途上国のNPO等へ赴任してもらい、本業で培ったスキルを生かして現地に貢献してもらおうというものです。

 日本社会には、会社員になると一定の枠にはまってその枠内で物事を考えてしまう傾向があるのではないかと思うのですが、その枠を越えて何かに挑戦する機会を与えることこそが社会人に対する教育になるという考えです。

石倉 みなさんリーダーシップ教育を重視しているとのことですが、みなさんの活動によって、本当にリーダーシップは磨かれるんでしょうか?

小沼 「自分が何かしなければならない」と感じる問題に出会えれば、リーダーシップは自ずと磨かれていくものだと思います。

ダボス会議で活躍する次世代リーダー、大いに語る!<br />「教育と人材育成でわたしたちが目指すもの」小沼大地(こぬま・だいち)
NPO法人クロスフィールズ代表理事。
一橋大学社会学部・同大学院社会学研究科修了。青年海外協力隊(中東シリア・環境教育)に参加後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。同社では人材育成領域を専門とし、国内外の小売・製薬業界を中心とした全社改革プロジェクトなどに携わる。2011年5月、NPO法人クロスフィールズを共同創業者の松島由佳とともに創業。企業で働く人材が新興国のNPO等へと赴任し、一定期間、本業で培ったスキルを活かして現地の人々とともに社会課題の解決に挑む「留職」プログラムの運営に取り組む。 世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shapers Communityジャパン2011に選出。

 日本の教育や人材育成ではスキルにフォーカスしがちですが、重要なのは、その手前にある「情熱」。情熱を持てる機会を提供すれば、人は育ち、リーダーシップが身についていきます。「留職」は、情熱を身につける機会を提供するプログラムなんです。

石倉 実践の場こそ重要だということですね。そうすると素朴な疑問が湧くんですが、そもそも学校には意味があるんでしょうか?いまの日本では、学校は実践の場になっていないでしょう?

小林 実は、全寮制の高校をつくろうとしたのは、学校を実践の場にするためなんです。私は、リーダーシップを身につけるには1割の座学と9割の実践が必要だと考えています。

 全寮制の学校では、自分たちで寮や食堂を運営するなかでカオスを経験し、そこで失敗から学ぶことができます。多様性についても、座学で教えてわかるものではありません。

 私たちがつくるインターナショナルスクールは、生徒の7割が海外からの留学生で、2〜5割の生徒に奨学金を出します。本当の意味で多様性が実現されるコミュニティだからこそ、多様性とは何かを理解できるのだと思います。