「1人の卒業生が10倍、100倍、1000倍の影響を生む」(松田)

石倉ジョン・ウッドさんのお話で非常に印象に残っているのは、「2015年までに1000万人の子どもたちに教育の機会を届ける」というスケールの大きさです。活動が大きなスケールにならないと社会は変わらない気がしますが、みなさんはスケールについてどうお考えですか?

小沼 ルーム・トゥ・リードのように、スケールを大きくして社会の問題を解決していくのはひとつのやり方だと思います。

 一方、一点突破というやり方もある。先陣を切って「こういうモデルならうまくいく」という絵を提示することで、リソースを持っている企業や国がそこから学び、展開していくことでスケールを大きくする。そういうアプローチもあると思います。

ダボス会議で活躍する次世代リーダー、大いに語る!<br />「教育と人材育成でわたしたちが目指すもの」ときおりジョークも飛び交ったパネルディスカッション。終盤では活発な質疑応答も。

松田 ティーチ・フォー・ジャパンのプログラムに参加する教師は、今年は11人ですから規模は大きくありません。

 しかしこのモデルの本質は、教師が2年間で教育現場の課題を解決して卒業した後、社会の中でおのおのが教育問題の解決に取り組んでいくことにあるんです。

 たとえばプログラムを終えた後にそのまま教師を続ける人もいれば、教師という仕事の大変さを実感して教員業務のアウトソーシングビジネスを立ち上げようとする人も出てくるかもしれません。

 このプログラムから教育の今後を担う人材が卒業していけば、教育問題に与える影響は10倍、100倍、1000倍と大きくなっていくはずです。