株式レポート
4月26日 18時0分
マネックス証券

株式市場の上振れシナリオ〜出口戦略に向かう前に..〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

来週の重要経済指標、主要企業決算についてPDF版のレポートで解説しています


4月23日レポートで、発生する確率はさほど高くないが、米国の財政政策を巡り政治が混乱するリスクが残っていることを紹介した。ただ、今回の現地でのミーティングでは、政治に起因するリスクを除けば、米国経済そのものについては総じて明るい見方が多かった。

目先は、4―6月に強制歳出削減の影響が最も大きくでてくるため、米経済が再び減速するのは避けられない。GDP統計のブレが大きいので、年率1%を下回るゼロ成長まで低下する可能性もある。ただ、緊縮財政の悪影響が夏場以降は和らぐので、2013年後半には再び巡航速度に戻る。これが大方のエコノミスト、投資家の見方のようだ。

中には、2013年後半に年率3%を超えるペースに成長率が加速し、インフレ率もFRBの許容レンジである2.5%まで加速する、というエコノミストがいた。ただ、そこまで強い景気回復を想定しているのはかなり少数派である。住宅と消費が回復しても、緊縮財政が足を引っ張るので、2%台前半の緩慢なペースで回復が続く、というシナリオが多数派で、筆者自身もほぼ同様に予想している。

米景気回復が続くというシナリオがマーケットではほぼ共有されているが、そうすると、FRBがどのタイミングで、現在行っているQE3の緩和策を変更するかがポイントになる。面談者によって、微妙にそのタイミングについて意見が分かれていた。

FOMCの議事要旨などから、少数のかなりハト派寄りのメンバーを除けば、2013年半ば以降にQE3での国債買い入れペースを縮小させ、年末までにQE3を終了させるというのが、FOMCメンバーの多数派の見方であることが判明している。年初には金融緩和の弊害について投票メンバーの一人が言及するなど、昨年導入されたばかりの政策について、早くも具体的な出口に向けた議論が行われている。

ただ、QE3が終了しても、償還分の国債購入を続けるなどFRBのバランスシートの規模は当面維持するわけで、バランスシートを縮小させる金融引き締めについては、2014年半ばとまだ1年以上先という見方が多い。

こうしたFRBの出口政策を巡る思惑が、株式市場の波乱要因になりうるが、QE3を徐々に縮小させるというツールを使い、金融緩和を続けながら市場のリアクションを確認しつつ、慎重に出口に向かうということである。引き締めという出口がまだ見えない局面が続く中で、少なくとも2013年夏場まで、金融緩和と景気回復期待が株高をもたらす構図は変わらなさそうである。

問題は、FRBの出口がより具体的に意識される2013年後半である。一方で最近になって、FRB高官から、インフレ率が若干低下している点、つまり「ディスインフレ(デフレ)のリスク」についての言及が増えている。こうした見方がFOMCメンバーで増えれば、今後QE3を来年まで続けるべきとの見方がFOMC内部で増える。

実際に、コアPCE指数は前年比で足元まで1%台前半まで低下している(グラフ参照)。日本の失敗を糧に、デフレリスクに敏感なバーナンキ議長を中心としたFRBが、景気回復が続いても2010年にQE2に踏み出したのは、このデフレリスクへの警戒があった。



株式市場では、FRBの出口戦略についての思惑が多いが、実は、インフレ環境が追加緩和を行った2010年に似ている、ということは、出口政策を試みる前に、再び更なる国債購入増額が行われる可能性すら、米債券市場では意識され始めているのである。

こうした状況であれば、米国の株式市場にとって、年内一杯FRBの政策は波乱要因でなく、むしろ株高要因にすらなる。最高値更新が続く米国株について、チャートの形状などから上値の重さが常に意識されるが、実際には思わぬ上振れに期待できると考えている。

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(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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