2万5000円あれば、途上国の女の子1人が1年間学校に通える

【ジョン・ウッド氏×神田昌典氏対談 前編】<br />NPOの成功で大切なことは<br />マイクロソフトが教えてくれた神田昌典(かんだ・まさのり) 
経営コンサルタント・作家。日本最大級の読書会「リード・フォー・アクション」主宰。
上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。
大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済部に勤務。戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表として活躍後、1998年、経営コンサルタントとして独立。コンサルティング業界を革新した顧客獲得実践会(のちに「ダントツ企業実践会」、現在は休会)を創設。同会は、のべ2万人におよぶ経営者・起業家を指導する最大規模の経営者組織に発展、急成長企業の経営者、ベストセラー作家などを多数輩出した。2007年、総合誌で“日本のトップマーケター”に選出。現在、ビジネス分野のみならず、教育界でも精力的な活動を行っている。公益社団法人・学び力育成協会の創設に関わったほか、現在は、公益財団法人・日本生涯教育協議会の理事を務める。
主な著書に『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』『2022――これから10年活躍できる人の条件』、翻訳書に『[新版]あなたもいままでの10倍早く本が読める』(ポール・シーリィ著)、『バブル再来』(ハリー・S・デント著)など。累計出版部数は250万部を超える。

神田 途上国の子どもたちに教育の機会を届けることは、世界の発展に大きな意味を持つわけですね。アジアやアフリカの途上国への支援は、アメリカやその他の国の企業にとっても魅力的な選択肢と言えそうです。

ウッド 企業規模を問わず、グローバル化を目指す企業は少なくありません。そのような企業は、世界的な成長戦略に合わせて社会的責任をどう果たしていくかも計画していくべきだと思います。

 たとえば今朝も、起業したばかりのオーストラリアの企業から「スリランカに参入するにあたって、現地に図書館も設立したい」という話がありました。雇用を創出するだけでなく、教育も支援しようというわけです。これは企業が現地社会にメッセージを発信できるという点でプラスの効果があります。

神田 企業にルーム・トゥ・リードの活動を支援してもらえるようアプローチする際は、どのように話されるのですか?

ウッド どのような大企業の人が相手でも、人間としてアプローチします。たとえば「子どもはいますか?」と尋ねて「娘が3人います」と言われたら、娘さんにはやはり教育を受けさせたいですよね、という話をするわけです。こうした会話のきっかけから、「年間2万5000円あれば、カンボジアやラオスでは女の子が1年間の教育を受けられます」と説明します。

 日本やアメリカに生まれ、教育を受けられる環境に恵まれた人たちは、貧困のために教育が受けられない子どもたちに対してチャンスを与えることができるんです。

神田 ルーム・トゥ・リードは2000年の活動開始から10年あまりで1万5000カ所に図書館・図書室を設置し、これまでに780万人の子どもたちを支援されてきました。活動を開始した時点で、これほどの規模になることを想像していましたか?