民主党政権が「郵政民営化の見直し」を進めるなか、元大蔵官僚の斎藤次郎氏が日本郵政の新社長に就任した人事は、「天下りではないか」と波紋を広げた。斎藤社長は、世論の逆風を吹き飛ばして「利用者本位」の郵政改革を成し遂げることができるのか? 11月27日に開かれた日本郵政の記者会見で、斎藤社長がメディアの前で語った「再生策」の中身を、あますところなくお伝えしよう。(文/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)

斎藤社長
記者会見で郵政見直しについての抱負を語る斎藤新社長。記者の質問に対して、言葉を慎重に選びつつも、熱意が滲む口調で応答した。官僚時代の「豪腕」は顕在か?(写真提供/AFP=時事)

――国会で「郵政民営化見直し」の審議が本格的に始まった。政府与党は、来年の通常国会で、見直しの基本方針を盛り込んだ「郵政改革法案」(仮称)を成立させようとしている。それに向け、日本郵政グループは内閣とどのような連携をとっていくのか?

 郵政改革法案の骨子を考えるのは、内閣であって日本郵政ではない。我々はあくまでも、内閣に意見を申し上げる立場にある。具体的な意見交換の内容については、これから詰めるところだ。

 社長に就任してから、多くの関係者と会い、有意義な意見交換をすることができた。グループ会社の経営陣も一新され、社員も決意を新たにしている。

 今後は、利用者の声によく耳を傾け、それを業務に反映することを第一義に考えていきたい。同じ郵便局の中にある郵便、銀行、生保が一体となって、利用者の利便性を高めていく。特に、地方の利用者の声を積極的に汲み取って行くための仕組み作りに力を入れたい。

 全てはこれからだが、「公益性を高めるために効率のよい仕事をする」ということが、我々に課せられた使命だと思っている。

――郵政改革担当の亀井大臣は、パスポート申請やATMを使った年金記録の確認など、郵便局の窓口業務を広げ、「地域社会の拠点」にしたい方針だ。そのため、集配郵便局の大幅削減見直しも唱えている。斎藤社長も「利用者本位の体制作り」を掲げているが、ワンストップ・サービス化は、郵政事業の収益性を圧迫するコスト要因にもなり得るのではないか?

 「地域社会の拠点」作りに関しては、閣議決定の内容を前向きに捉えている。私も決意を持って臨むつもりだ。