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岸博幸のクリエイティブ国富論

西武は国際興業の二の舞に?
サーベラスTOBに関する数々の疑問

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第227回】 2013年5月9日
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 サーベラスの西武HD株へのTOBの期限(5月17日)がいよいよ迫って来ましたが、最近関係者の間に出回っているペーパーを見ると、改めて今回のサーベラスのTOBについて様々な疑問を感じざるを得ません。

“虚偽”を含んだ株主宛レター

 第一の疑問は、サーベラスが4月22日付けで西武HD株の株主に出したレターの内容についてです。

 このレターは事実上株主に対するTOB申し込みの勧誘のためのものと考えられますが、その内容にはどうも事実と反し、悪く言えば虚偽と捉えられてもおかしくない内容が散見されます。

 例えば、レターには「私たちが、平成24年10月12日付書簡において、西武に対して、鉄道路線の廃線及び西武ライオンズの売却を要求したという事実は一切ございません」というくだりがあります。

 しかし、問題の書簡には“以上の施策を講じることを確約することを強く求める”と書かれていますし、それが筆頭株主のトップから経営陣トップへの正式書簡であることも踏まえると、鉄道路線の廃線などは単なるアイデアとして提案しただけという主張には、ちょっと無理があるように思えます。

 そして、何よりも問題は、一般消費者として保護されるべき個人株主に対して、表現こそ丁寧なものの一方的に西武の経営陣を厳しく批判するとともに、“廃線要求をしていない”と事実と異なる可能性が高いことを書き、更には「大変多くの株主の皆様よりお問い合わせを頂いております」と、虚偽には該当しないだろうけど、具体的な数字も示さずに多くの株主がTOBに応じつつあるかのような表現を使い、株主を煽って勧誘している可能性も否定できないことです。

 もしこのレターが実際に不正確な情報や憶測によって契約を勧誘しているとなったら、民法(詐欺規定や錯誤規定)、消費者契約法、さらには不当競争防止法上の疑義が生じる可能性も否定できないのではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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