「相手のことを想像する」という本質

伝える技術って、<br />相手のことを想像する技術でもあるんです。<br />【本田直之×佐々木圭一】(後編)佐々木圭一(ささき・けいいち)コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師 上智大学大学院を卒業後、97年広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。アジア初、6カ国歌姫プロジェクト(アジエンス)。カンヌ国際クリエイティブアワードでシルバー賞他計3つ獲得、AdFestでゴールド賞2つ獲得、など国内外51のアワードを獲得。郷ひろみ・Chemistryの作詞家としてアルバム・オリコン1位を2度獲得。twitter:@keiichisasaki写真/賀地マコト

佐々木 今回、著者になって初めてわかったことがあるんです。この『伝え方が9割』も、すごい時間と体力を使ってようやくできた一冊。それが1400円で読めるって、とてもすごいことなんだって。それまでは、こんな薄い本が1400円ってどれだけ高いんだ、なんて思ってましたから(笑)。

本田 あれほど僕が、「レバレッジ」シリーズの中で、本ほど安い投資はないって書いているのに(笑)。この本って、出版までに2年半かかったんだよね。

佐々木 本田さんから「これ本にしたら?」っていう話をいただいて、編集の方を紹介してもらって、「よし頑張るぞ」と思って書き始めてから、ちょうど2年半。けっこうかかりましたね。

本田 かかりましたね。(笑)

佐々木 『伝え方が9割』ってタイトルだけを見ると、もしかしたら、口先とか言葉だけ変えて人生をうまくやってしまおう、というメッセージみたいに読み取れるかもしれません。でも、僕が言いたかったのは、そういうことじゃないんです。

伝える技術って、<br />相手のことを想像する技術でもあるんです。<br />【本田直之×佐々木圭一】(後編)
本田直之(ほんだ・なおゆき)
レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長兼CEO シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、常務取締役としてJASDAQへの上場に導く。現在は、日米のベンチャー企業への投資事業を行うと同時に、少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジマネジメントのアドバイスを行う。東京、ハワイに拠点を構え、年の半分をハワイで生活するデュアルライフを送っている。著書に、ベストセラーになったレバレッジシリーズをはじめ、『ノマドライフ』(朝日新聞出版)、25万部を超えるベストセラーとなった『面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則』『ゆるい生き方』『7つの制約にしばられない生き方』(以上、大和書房)『ハワイが教えてくれたこと。』(イースト・プレス)などがある。著書は累計200万部を突破し、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。

 全編にわたって書いているのは、伝える前に「相手のことを想像してみましょう」という提案なんです。本田さんの本を読んでいると、いつも僕はそういう本質を感じています。同じように、『伝え方が9割』を最後まで読んでいただいた人には、そのことが伝わっているといいなと思っているんですが……。

本田 何かを伝えるってことは、必ず相手がいるわけだから。言葉だけじゃなくて、やっぱり本質的なところで、相手のことを考えられないとダメですよね。

佐々木 はい。たとえば企画書だって、読み手のことを考えないといけない。学生の書いた就活のエントリーシートとか企画書を見て、これは通りにくいなとか、わかりにくいなって思うことがよくあるんです。それは、その人が思ったまま、そのままを書いてるから。すると「なんか尖っているけど、うちにはいりません」となってしまう。きちんと相手の会社を考えた切り口で書けば、もっと可能性は上がるはずなのに。