文書、画像などのあらゆるデジタルデータをクラウド上に一元管理できる「エバーノート」。ユニークな経営理念を持つ会社でもある。

エバーノートCEO フィル・リービン<br />今後100年存続する企業へ<br />重要なのは技術よりブランド

──常々、「エバーノートを100年続く会社にしたい」という発言をしていますね。

 これはまさしく日本から学んだことです。日本には100年を超える老舗企業が実に多く、しかも皆が会社としての“魂(ソウル)”を持っている。当社もそうありたいと考えるようになりました。

 当社が目指す「100年企業」というのは、「100年間スタートアップ企業(起業したばかりの企業)でいる」という意味です。

 ただ100年という年月は、着実にゆっくり進んでいくべきものですが、同時にスタートアップ企業であり続けるためには、常に俊敏に動いて創造性を発揮していかなければなりません。俊敏さと、ゆっくり着実にという両方のバランスを取りながら、人々に愛され続ける企業になりたいんです。

──具体的にどういう工程で実現しようと考えているのですか。

 中心となる考え方は、ステークホルダー(利害関係者)の間における構造的な利益相反を解決していくことです。すなわち、会社として何がしたいか、お客が何を望むか、またパートナー、投資家、従業員が何を望むかを、すべて共通の利害にすることです。

 例えば当社の収入は、有料ユーザーからの使用料です。広告やデータマイニング、アフィリエイトなどそれ以外の収入は扱っていません。仮に当社が、ユーザーデータを外部に売れば、確かに利益増にはつながるでしょう。しかし、それはお客からの信用を失うことになる。そうなれば長期的に存続することはできません。