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5月10日 18時0分
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1ドル100円を超えたドル円〜本当の理由〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

来週の重要経済指標、主要企業決算についてPDF版のレポートで解説しています


昨晩(5月9日)のNY為替市場で、1ドル100円の大台まで円安が進んだ。メディアでは、「米雇用指標の改善」によって、円安が進んだとされている。5月8日のレポート「目線を少し変えた方がいいかも」でも指摘したが、当面、市場の変動は、これまでのようなアベノミクスへの期待よりも、米国などの世界経済の動向に左右されると考えている。実際に、昨晩のドル円の動きは、「円安」よりも「ドル高」の側面が大きい。

そして、昨晩のドル円の動きをみると、米雇用指標の改善が、大幅な円安をもたらしたわけではない(グラフ参照)。雇用指標改善でドル円は99円台半ばに上昇したが、NYの午後に、米国債の入札で米債券への需要が強いとことが判明しドル高に動き、そしてフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁の講演での「QE(量的金融緩和)はリスキーである」などのヘッドラインが続いたことが、ドル高の最後の一押しになった。



実際に、昨晩の雇用指標についてみると、週次の新規失業保険申請件数は良かったが、労働市場の改善傾向を確認する程度の結果である。グラフをみればわかるように、春先から改善ピッチが加速しているわけではない。先週末発表された雇用統計の改善とほぼ整合的で、米経済の状況が大きく改善した、わけではない。



昨日は、雇用指標の発表だけでなく、米国債の入札、先に挙げた米FRB高官の刺激的な発言がでた、というイベントが偶然重なり、これまでなかなか抜けなかった100円を一気に超えてきた、ということである。

昨日、プロッサー総裁が発言したように、米国経済の回復が急ピッチで、米FRBが「QEはリスキー」と考えているならば、ドル高が進むのは当然である。筆者自身も、2014年にかけて、米経済の回復が続くと予想しているし、ドル高を想定している。

ただ、プロッサー総裁の見方は、政策を決定するFOMCメンバーの主流派の見方ではないことに注意する必要がある。プロッサー総裁は、タカ派の代表格であり、そしてFOMCにおける投票権を持っていない。4月26日レポートで紹介したが、米国では出口戦略に向かう前に、インフレ率低下に対して更なる金融緩和すら議論の遡上になっている状況である。

そして、今月の「マーケットの歩き方」「相場変動の主因は、日銀からFRBへ」で紹介しているが、足元の米国の経済指標は、雇用関連は良いが、春先まで好調だった個人消費、企業景況感指数などは減速している。当面は、一旦経済の停滞が意識されるだろう。日本でアベノミクスが成功し、そしてFRBが先に量的金融緩和解除に向かうため、2014年にかけてドル高傾向が続くと筆者は予想している。ただ、現在の経済環境を踏まえると、昨晩のようにドル高が急ピッチに進むシナリオは想定しがたい。

「1ドル100円を突破したから円安に拍車がかかる」、というのは一見もっともらしい見方だが、今はそのシナリオに対して懐疑的に考えた方が良いと考えている。

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(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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