誠実な価格と品質の白いドレスシャツ群

 例えば白のドレスシャツは、上質な綿織物の産地として知られる播州で、100番手双糸のエジプシアンコットンを使い、オックスフォード、ヘリンボーン、ブロードクロスなど、白だけで8種の生地を揃えている。また衿のデザインは、それぞれの生地の雰囲気に合わせてレギュラー、ボタンダウン、ワイドの3種が用意されている。

 いっぽう紺のネクタイは、表面にメッシュ調の凹凸があって涼しげに見えるフレスコタイだけの決め打ちだ。西陣織りで知られる丹後、そこに残る希少なシャトル織機でゆっくり織り上げられたフレスコタイは、ふっくらとして復原力があり鞄に収納しておいてもシワになりにくい。クールビズ時、急遽タイドアップの必要なシチュエーションに遭遇した場合などにも、これなら重宝するはずだ。

長く飽きのこない紺タイをラインアップ

 カラーバリエーションは濃紺、ネイビー、淡いブルーの3種の濃淡から選べるうえ、柄も無地だけでなく、織り柄で縞を表現するなど、この色の奥行きの深さを味わえる仕掛けになっているのが嬉しい。

 製造面に言及すると、ドレスシャツは以前エシカルドレッシングで紹介したことのあるCHOYA(蝶矢シャツ)が、ネクタイはフェアファクスコレクティブといった具合に、それぞれを日本有数の専門メーカーとコラボしているから品質&デザインとも信頼性が高い。

 しかも価格は、思い切った絞り込みが幸いして、2点とも8,925円(税込み)とリーズナブルである。

 白のオックスフォードのボタンダウンシャツのときは濃紺の織り縞入りのネクタイでトラッドに。白い綾織りのワイドカラーシャツなら淡いブルーのフレスコタイと合わせて洒脱に。白シャツと紺のネクタイだけで無限といっていいほどに楽しめる上品で清潔感のある春夏の装い。

 リミテッドエディションのハイスタンダードな提案は、装うことに喜びを見いだしながら、伝統ある日本の技術を空洞化させたくないという心ある人々の消費心を掴むことだろう。

 新しい時代に向けたエシカルな価値観が、すでに買う側には芽生えているのに、今は送り手であるデザイナーやブランドの思考がこれに追いついていない。こうした状況にこの新ブランドが風穴をあけてくれることを期待して、今後も注目してみようではないか。

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