今年のプロ野球、とくにセ・リーグが盛り上がるかどうかの鍵を握るチームは阪神だろう。

 昨年は巨人が圧倒的な強さを見せて日本一になった。ペナントレースは2位・中日に10.5ゲームもの大差をつけて優勝。クライマックスシリーズは中日に4勝3敗、日本シリーズは北海道日本ハムに4勝2敗で勝利したが、勝敗以上に危なげなく勝った印象がある。

 その強さは今年も健在で、開幕から1引き分けをはさんで7連勝。途中連敗することもあったが、32試合を消化した5月5日時点では22勝8敗2分で早くも貯金14、2位・阪神に5.5ゲームの差をつけていた。開幕から1ヵ月ちょっとで早くも、セ・リーグの優勝は巨人で決まりというムードが漂いかけていたわけだ。

昨年とは打って変わって
今季ひと際光る阪神の健闘

 その巨人の独走にストップをかけたのが阪神である。6日から東京ドームで行われた巨人との直接対決を3連勝。その後も勝ち続け、ゲーム差を一気に1.5まで縮めた(データは5月12日時点、以下同)。巨人との対戦成績も6勝2敗1分と大きく勝ち越している。横浜DeNAが1勝7敗、中日が1勝5敗、広島が1勝7敗1分と他チームが揃って巨人に圧倒されている状況を見ると(東京ヤクルトは3勝3敗の五分)、阪神の健闘がひと際光る。開幕1ヵ月にして消えかかったセのペナントレースの火を再点火してくれたのが阪神なのだ。

 もっとも昨年の阪神は情けない方のグループにいた。巨人との対戦成績は5勝15敗4分。とくに東京ドームでは1勝9敗2分とワンサイドだった。それが今年は6勝、そのうち東京ドームでも4勝しており、すでに昨年を上まわっているのだ。

 昨年とはどこが違うのか。監督は同じだし、コーチ陣の顔ぶれも、そう大きな変更はない(ヘッドコーチは阪神が有田修三から黒田正宏、巨人が岡崎郁から川相昌弘に替わった)。戦力を見ると、阪神はメジャー帰りの西岡剛内野手と福留孝介外野手、甲子園で活躍した注目の高卒ルーキー・藤浪晋太郎投手が加入。そのかわり抑えの切り札だった藤川球児投手と、平野恵一内野手が去った。