足もとで世界の主要株式市場は、いずれも堅調な展開を示している。米国のニューヨークダウ指数は、5月7日に史上初めて1万5000ドル台の壁を突破した。同日、ドイツのDAX指数は史上最高値を更新した。アジア諸国の株式市場も上昇基調が続いている。

 そうした世界的な株価動向の中で、際立っているのがわが国の株式市場だ。日経平均株価(5月7日現在)は、昨年の11月13日の直近の底値から6割を超える上昇幅を示している。

 海外投資家も、顕著な上昇過程を辿る日本株の持ち高を引き上げざるを得ない状況だ。足もとで日本の株式市場は、主要市場の中でも最も注目度の高い市場といっても過言ではないだろう。

 そうした状況について、市場関係者の間では、「1980年代中盤の“資産バブル”のときのような、まさに25年ぶりの相場」との認識が広がっている。当面、株価の支援材料である世界的な金融緩和策に大きな変化はないと見られ、為替市場での円安傾向が継続している間は、堅調な展開が続くと予想される。

 そうした株価動向に関して、証券業界の一部からは嬉しい悲鳴も上がっている。最近までの下げ相場しか経験のない証券マンの中には、顧客に銘柄相談を受けても、何をどう営業してよいかわらないと、身内に悩みを打ち明ける者まであるようだ。

中央銀行がこぞって潤沢な資金を供給
世界的な株価上昇は「金融相場」の様相

 こうした世界的な株価上昇を支えているのは、何といっても、世界的に潤沢な資金供給がなされていることだ。世界の主要な中央銀行は、いずれも景気刺激などの目的で積極的な金融緩和策をとり、潤沢な資金供給を行っている。

 あり余る資金の一部が、世界的な景気回復の期待によって投資資金となり、株式市場に流れ込んで株価を押し上げている。一般的に、金余りが株価を押し上げる状況を“金融相場”と呼ぶのだが、現在は間違いなく“金融相場”の様相を呈している。