前回は、雑談力が今なぜ必要とされているのか、雑談力を身につけると
どんないいことがあるのか、雑談力は5月病も防ぐという話を聞いた。
今回は実際にどうやって雑談力を身につけるのか、具体的なテクニックを
33万部ベストセラー『雑談力が上がる話し方』の著者・齋藤孝先生に教えていただく。
(撮影/宇佐見利明、聞き手/ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

齋藤孝(さいとう・たかし)
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。
同大大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程を経て、現在、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。著書は33万部突破『雑談力が上がる話し方』をはじめ、『学問のすすめ現代語訳』(ちくま新書)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『古典力』(岩波新書)、『売れる!ネーミング発想塾』(ダイヤモンド社)など多数。

ゴリラ柄のネクタイ。
さて、どうほめる?

編集部 さっそくですが、すぐに職場や学校、家庭で使えそうな雑談力を上げるテクニックを教えていただきたいのですが。

齋藤孝(以下齋藤) では3つほど紹介しましょう。
普段コミュニケーションをとっている人たち、例えば職場の人やご近所の人などに使えるものから。
  ほめ方のテクニックについて説明します。

編集部 ほめるというは、相手を持ち上げることですか?

齋藤 違います。前回紹介した雑談のルールを思い出してください。相手と自分が共有する「場」を温めることが、雑談の目的でしたよね。そこであなたが「○○さんは偏差値が高いですね」などと言っても、場は温まりません。かえって「この人は私のことを馬鹿にしてる?」と怒る人もいます。相手の人格や相手そのものを持ち上げろと言う意味ではありません。

  お互いが共有しているもの、つまり「目の前の相手そのもの」をほめるんです。雑談によって相手との距離が縮まったり、親しみや信頼関係が生まれる。

編集部  となると、身に着けているものとか?

齋藤  そうですね。見えている目の前の相手を「受け入れる」。
そのためのほめ言葉です。

  じゃあ実際やってみましょう。
  例えば今日、私がゴリラ柄のネクタイをしていたとします。
  なんて声をかけますか?

編集部  う…言葉に詰まります。齋藤先生のセンスを疑ってしまうかも。…ごめんなさい。

齋藤  あ、雑談のルールを忘れていますよ。センスや趣味の良し悪しは
関係ありません。「結論」はいらないのですから。
  ただ、目の前の相手を受け入れる言葉をかけるのです。