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5月15日 18時0分
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上昇相場第2幕 ここから本当のグレート・ローテーションが始まる--長期金利の上昇で最も買われる株は何か? - 広木隆「ストラテジーレポート」

3年目の真実

<「みんなで渡れば怖くない」とばかりに、盲信的にどこまでも買い進めるものでもないだろう。金利は0%より下には行かない。債券が買い進まれ、もうこれ以上利回りが下がらないところまで行けば、そこが天井である。期待リターンは限りなく低く、暴落のリスクはとても高い、そういうレベルに債券市場は着実に近づいている。>

これは今の債券市場の状況を述べたものではない。僕がマネックス証券のチーフ・ストラテジストに就任して一番初めに書いた - レポートを書くという仕事をしていなかったから、生まれて初めて書いた - ストラテジー・レポートの一節だ。2010年9月、今からおよそ3年近く前のことである。そのレポートでは、世界的な金融緩和がもたらした過剰流動性が債券バブルを生み、そしてその債券バブルが行き着くところまで行って株式への資金シフトが始まる、すなわち昨今流行りの「グレート・ローテーション(大転換)」を唱えたのだった。そこから紆余曲折あったが、ようやくそこで述べたような状況が始まろうとしている。言わば、3年越しのシナリオ実現である。

逆利回り革命

「グレート・ローテーション」という言葉が流行っている。債券から株へと投資マネーが大移動する新潮流を指す。(どうでもいいけど、業界人は流行り言葉を作るのが好きだ。従前からの「資金シフト」と言えば済むものを、と思うのだが。)日経ヴェリタスでも2月に特集を組み大々的に報じられた。ところが、それほど債券から株への流れは加速していなかった。いや、株式市場に資金が流入しているのは全世界的に株高が起きていることから明らかだが、その一方で債券も同時に買われていたのだ。少なくとも債券市場から資金が流出しているようには見えなかったのだ。

日経ヴェリタスがグレート・ローテーションの企画を載せたのと時を同じくして、証券アナリストジャーナル2013年2月号は「この半世紀の利回り革命と逆利回り革命」という特集を組んだ。昨年半ば、米国で配当利回りが長期金利を上回り、それが「逆利回り革命」と呼ばれたのである。そもそも1958年から50年以上もの間、配当利回りは長期金利より低いのが当たり前だった。それ以前はどうだったかというと、配当利回りは長期金利より高い時代が1800年代半ばから100年近く続いてきたから、その関係が逆転したのが1958年の「利回り革命」だったのだ。それは株式の時代の幕開けだった。その再逆転が「逆利回り革命」である。日本は米国に先駆けて2008年に配当利回りが長期金利を上回る「逆利回り革命」が起きて以来、その状態が定着している(グラフ1)。


本当のグレート・ローテーションが始まる

ここから言えるのはどちらだろうか。株式が割安なのか債券が割高なのか。イールド・スプレッド(配当利回りと長期金利の差)だけをもってして判別するのは難しい。しかし、前回のレポートでバリュエーション・マトリックスを使って示した通り、市場の予想を適切に評価した位置に今の株式市場はある。株式は割高でも割安でもなくフェア・バリューにあるというのが僕の見方である。それにもかかわらず、イールド・スプレッド(配当利回りと長期金利の差)に歴史的な逆転が起きているということは、やはり債券が買われ過ぎなのだろう。世界経済がリーマン・ショックを乗り越えてこれから正常化に向かうならば、その過程で金利も正常化に向かうだろう。その時こそ「逆利回り革命」の解消であり、本当のグレート・ローテーションが始まる時である。そしてそれは日本株の上昇相場、第二幕のスタートとなるだろう。僕がマネックスのチーフ・ストラテジストに就任して一番初めに書いた日本株式相場展望で、日本株を分析するうえで一番大事な指標は米国金利であると述べた。日本株はグローバル敏感株である。そして米国金利はグローバル景気の体温計だ。世界経済が順調に成長すれば米国金利は上昇し、グローバル景気拡大の恩恵で日本企業の利益が伸びる。両者が連動するのは極めて自然である。百聞は一見に如かず。グラフ2をご覧いただきたい。



日米ともに長期金利の上昇が始まった(グラフ3)。本日、国債の10年物の利回りは1年1カ月ぶりに0.9%台をつけた。ここにきて長期金利の上昇が鮮明になっている。米国の10年債も2%程度に上昇し、「逆利回り革命」の解消に向かっている。日本でも株価上昇、長期債利回り上昇で長年に及んだ「逆利回り革命」が解消するとすれば、その意味は非常に大きい。なぜなら、それが、グレート・ローテーションが本格化する象徴的な事象となるからだ。



生保株は日本の長期金利と連動性が高い

こうした金利上昇下で注目されるのが生保株だ。本日午後1時30分現在、円安を好感して買われている電機、自動車などを抑えて保険業は業種別値上がり率のトップとなっている。ソニーFGが10%高を超える急伸。その背景には、米ヘッジファンドのサード・ポイントがソニー本体に対して映画や音楽などのエンターテインメント事業の分離を要求したことで、ソニーの事業再編への思惑も含まれていると思うが、主な上昇の背景は長期金利の急騰であろう。

グラフ4はソニーFGのものだが他の生保株も同様の値動きだ。緩やかな金利低下局面では上昇していた株価も年明けから日銀の金融緩和期待による金利の急低下局面では軟調になっているのが分かるだろう。そして4月上旬の「異次元緩和」で長期金利が急落したときには、大幅安を演じている。「異次元緩和」を好感して株式市場が全面高となったときに、唯一逆行安して急落したのが生保の株だった。資産と負債のデュレーションのミスマッチによって金利低下は生保にとって企業価値(エンベディット・バリュー)を下げるのである。ということは逆に金利上昇局面では買われやすいということだ。



僕はまったく「国債暴落説」というものを信じていないけれど、もしあなたが日本の財政を不安に感じ、国債急落シナリオを心配するなら、生保株への投資がそのリスク・ヘッジになるだろう。

もちろん、通常の金利上昇でも生保にとってハッピーである。運用利回りの改善と負債の現在価値低下により企業価値(エンベディット・バリュー)が向上するからである。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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