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インキュベーションの虚と実

エンタープライズ市場の時代がやってきた!
クラウドやUXの進化で新たに生まれるニーズとチャンス

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第27回】 2013年5月27日
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重要化するインナー・ブランディング
社員を変え、企業文化をつくりあげる

 企業のソーシャルウェブの対応というと、「対顧客」「対市場」をイメージすることが多いと思うが、「対社内」のコミュニケーションにも注目が集まり、ニーズが生まれている。前出のYammerは、その一例だ。

 ベストセラー著者であり、マーケティングとITのオピニオン・リーダーとしてTEDやSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)などでも著名なブライアン・ソリス(Brian Solis)氏は、今年4月22日の自著の邦訳「エフェクト 消費者がつながり、情報共有する時代に適応せよ!」出版記念講演で、ソーシャルウェブをはじめとするコミュニケーション革命で、マーケティングが変貌するとともに、インナー・ブランディングが重要化することを指摘した。

 コンシューマーの情報と体験の共有が進み、顧客と企業の関係性は大きく変化しつつある。その中で、顧客のブランドへのエンゲージメントを獲得するにはどうすればよいのか。オンライン靴小売りのザッポスの例(参考「ザッポス伝説」)なども交え、ソリス氏は、企業文化の醸成や社員一人ひとりがブランドをつくると指摘し、社員と企業のコミュニケーションも、コンシューマー同様に革新が求められていると説いた。

 ソリス氏の論と符合する話は、その半年ほど前に、ワイデン・アンド・ケネディー(W+K)のBlake Harropマネージング・ディレクターからも聞くことができた。

 W+Kは、ナイキなどの斬新な広告やキャンペーンを手掛けた広告会社だ。ちなみに、W+Kの東京事務所は、社員一人ひとりがブランドをつくるということをクリエイティブな形で実践している。この社員紹介ページも、その顕れだ。

 このように複数のウェブ・コミュニケーションのオピニオン・リーダーたちが共通のメッセージを唱えている。つまり、社内のコミュニケーションを変革する時代の到来だ。すると、社内コミュニケーションへのソリューションやサービスが必要になる。

 実は、大企業における社員のエンゲージメントは、日本は先進国中で最低水準だ。これから脱却するためにも、社内コミュニケーションや企業文化づくりが大切だ。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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