5年間で店舗数が180%も拡大

――坂上:フィットネスクラブは世の中に数多くあると思いますが、競合対策としてはどのようなことを行っているのでしょうか。

増本:実は、今のところ直接的な競合というのはありません。というのも通常のフィットネスクラブは若い方が顧客層の中心となっていまが、私たちは女性かつ40歳以上に限定しているからです。

 さらに弊社の会員のほとんどが、今までフィットネスクラブに通ったことが無い方となっています。

 やっていた運動はウォーキングだけ。それも買い物の帰りに、バス停一つ分歩くように気をつけていますという程度。今まで運動とは無縁だった方々を対象としていますので、他のフィットネスクラブと顧客を奪い合うようなことにはなっておらず、常に顧客を創造しています。

――坂上:まさにランチェスター戦略でいう「差別化」ですね。売上や経常利益などはどのような状況でしょうか。

増本:過去3年間の売上は、54億、84億、113億となっています。昨年度だと対前年比130%の成長です。店舗数も過去5年間で700店舗から1300店舗に増やしていますので、約180%の拡大率ですね。昨年度の経常利益は19億。経常利益率で10%以上を常にキープしています。

――坂上:すばらしい成長率ですね。このような成長ができた理由、ポイントを3つ教えてください。

増本:1つ目は、中高年の女性の方々に焦点を当てたということですね。この層はあまり運動を行いませんが、最も必要としている人たちです。ところが、その方々が通える運動施設が今までありませんでした。フィットネスクラブやスポーツジムは敷居が高いと感じる層に、ピンポイントの施設を提供できたことが、受け入れられた理由だと思います。

中高年女性の心をつかんで離さない<br />1日30分ですむフィットネスクラブ健康のため、運動に勤しむ女性たち

 2つめは、プログラムの内容そのものですね。一つひとつの運動は一見シンプルで簡単なものに見えますが、健康上の効果が高くなるよう多くの工夫がなされています。このプログラムはアメリカで、生活習慣病の予防や改善、寝たきりの予防などに効果があることが科学的に証明されています。

 印象に残っている例として、我々が一号店を出した時、膝が痛くて杖がなければ歩けないお客様がいました。ところが、3ヵ月通ったところで、その方は店舗に自分の杖を忘れて帰ってしまった。いつのまにか杖なしでも家まで歩けるようになっていたんですね。このようなことは日常的にどの店舗でも起こっています。

 3つ目は人材です。今まで運動をしてこられなかった方に、弊社で気持ちよく運動を始め、続けてもらわないといけません。そのため、きめ細やかなサポートが非常に大事です。それは単に、丁寧に運動を教えるというだけでなく、一人ひとりの状況に合わせたサポートが必要だということです。

 お客様には膝が痛い方もいれば、病気を持っている方もいます。また女性はある年齢になると日によって体調の変化が大きくなるので、その日の体調に合わせて指導しています。そのため、お客様に対してのサービス精神が高く、情熱あふれた人材の採用や育成に力を入れています。