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三井物産のBSデジタル放送戦略
ぶち上げた多チャンネル化の多難

【第17回】 2008年11月4日
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 絵に描いた餅で終わってしまうのでは――。参入希望が殺到している次期BSデジタル放送をめぐり、三井物産の戦略が物議を醸している。

 アナログ放送が終わる2011年7月以降、総務省はBSデジタルで新たに8~12事業者に免許を認めると見られる。このほど、同省が参入の希望調査をしたところ、放送局や総合商社など国内外から53もの事業者が名乗りを上げた。

 この際、大半の事業者が現行の放送方式での参入を希望したのに対し、三井は大幅なチャンネル増が可能となる新方式「H.264」の導入を打ち出したのだ。

 背景には、BSデジタルで多チャンネル事業に参入したいという思惑がある。実現すれば、コンテンツ事業者と組んで洋画やスポーツなど20以上のチャンネルを有料で流す計画で、三井は課金システムや顧客管理などを担うプラットフォーム事業者として同放送を主導する戦略だ。総事業費は数億円規模と見込まれている。

 ところがこの「H.264」、既存のBSデジタルの受信機では視聴できないという厄介な代物なのだ。

 新たな受信機が必要になることから、関係者は実現に懐疑的だ。参入希望のある放送事業者は「ゼロからの普及となると、獲得できる視聴者はたかが知れている」と手厳しい。

 三井の関係者は「視聴者の視点に立てば賛否ある」と認めつつも、「BSデジタルを魅力的な媒体にするには、いつかは導入しなければいけない」と主張する。

 確かに現行のBSデジタルが退屈な通信販売番組や再放送で溢れているのも事実だ。また三井は受信機の問題については電機メーカーに協力をあおぐ方針だという。

 最終的に導入の是非を決定する立場の総務省は「どれだけ魅力的なコンテンツが集まるかがカギ」との見方を示している。

 放送方式は来春には決まる予定で、これから番組供給者、メーカーと連携体制を整え攻勢をかけたいところだ。が、4000万台を突破した既存受信機を捨てさせるだけのキラーコンテンツや価格戦略がなければ成功はおぼつかない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 山口圭介 )

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