アベノミクスで円安・株高に沸いていた日本の金融市場が、足もとで変調をきたしている。5月中旬以降、株式と国債の乱高下が止まらない。まるで方向感を見失ってしまったかのような市場の動きに、投資家の不安は募る。足もとでいったい、何が起きているのか。黒田日銀の「異次元の金融緩和」は、市場の平静を取り戻せるだろうか。金融市場に精通し、かねてよりリフレ政策の課題を指摘して来た小幡績・慶應義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)准教授に、「株式・国債バブル」の行方を詳しく聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 編集長・原英次郎、小尾拓也)

今は典型的な「バブル相場」の動き
株式市場で何が起きているのか?

――アベノミクスで円安・株高に沸く日本の金融市場が、足もとで変調をきたしています。1万5000円を越えて続伸していた日経平均株価は、5月23日、終値ベースで前日比7.3%安となる1万4483円へと暴落。これは、リーマンショックや東日本大震災直後を越え、2000年のITバブル崩壊以降、13年ぶりとなる大きな下げ幅です。その後も株価は乱高下を繰り返し、不安定な相場が続いています。こうした異変の背景には、いったい何があるのでしょうか。

足もとでいったい、何が起きているのか?<br />方向感を失った「株式・国債バブル」の行き着く先<br />――小幡績・慶應義塾大学大学院准教授に聞くおばた・せき
1967年生まれ。千葉県出身。慶應義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)准教授。92年東京大学経済学部卒業、大蔵省(現財務省)入省、99年退職。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。2003年より現職。『すべての経済はバブルに通じる』(光文社)、『リフレはヤバい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ハイブリッド・バブル』(ダイヤモンド社)など著書多数。

 今の株式市場は完全なバブル状態であり、バブル相場特有の動きが出ているということです。とりわけ5月のゴールデンウィーク明けから、明白なバブル相場になった感があります。現に先週末から今週にかけて、株式投資家はバブルであることを認めざるを得ないような状況になっている。

 私の言うバブルの意味は、ファンダメンタルズで見る割安や割高とは関係なく、ほぼ全ての投資家が「今持っている株を隙あらばできるだけ素早く他人に売りつけて、一旦市場から出てやろう」と思っている状況です。彼らは短期で大きなキャピタルゲインを狙っているため、相場は彼らが右往左往することにより、乱高下を繰り返す不安定な相場になります。

 先の暴落時の狼狽ぶりで明らかなように、皆バブルだとわかっていながら相場に乗っかっているので、アテが外れて大きく下落すると、焦って投げ売り、それが暴落をもたらしているのです。