経営再建中のGMの株価が9日のニューヨーク市場で、ついに4ドル台にまで落ちた。米政府による低利融資枠の設定で救われたと思いきや、本社ビル売却の噂も広がり、資金繰りへの不安が広がっている。そもそも債務超過額は日本円にして6兆円と空前の規模にまで膨れ上がっている。年金受給者のOBまで含めれば120万人の生活を支える同社が破綻すれば、実態経済への影響は甚大だ。

 創業1919年――。数百社に上る米ゼネラル・モーターズ(GM)のディーラーのなかでも指折りの名門であり、最大手の一角を占めるビル・ハード社が、奇しくもGM創業100周年に当たる今年9月、資金繰り難から連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づく会社更生手続き適用を申請した。

 ビル・ハードの年商は約25億ドル(2500億円)。GMの米国販売台数の6割を占める最量販ブランド「シボレー」の販売台数では長く全米1位の座を維持してきた。本社を置くジョージア州を中心に、3200人の雇用を抱えていたが、関係者によれば、9月28日のチャプターイレブン適用申請の数日前に、14店舗を閉鎖し、大半の社員に解雇が通知されていたという。昨年夏のサブプライム問題表面化以降、坂道を転げ落ちるように悪化したGMの経営問題はいよいよ取引先の連鎖破綻という危険水域に達しつつあるといっていい。

 負け組が凋落しただけともいっていられない。GMは今も年間19兆円もの売上高を計上し、26万人のグループ従業員を抱える全米最大のメーカーである。取引先のディーラーや部品メーカー、広告代理店を加えれば70万人、さらに年金受給者のOBも含めれば、120万人がGMという大樹に寄りかかって生計を立てているといわれる。

 万一、GMがビル・ハードの後を追うようなことになれば、ただでさえ弱体化している米国経済にさらに大きなダメージを与えかねないのだ。