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岸博幸のクリエイティブ国富論

“脱官僚”の方法論を勘違いしている
民主党マニフェストの本当の問題点

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第50回】 2009年7月31日
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 すいません、今週も本題はお休みにさせてください。民主党のマニフェストが発表されましたが、報道での評価は意外と本質に言及されていないので、今回はその点を説明したいと思います。

社会主義と脱官僚は両立するのか?

 民主党がマニフェストを発表した翌日の報道を見ていますと、メディアや自民党の批判の多くは「そんなにバラまいて、財源が本当に捻出できるのか」といった点に集中していました。

 しかし、この問題はあまり本質でないような気がします。机上の計算と現実が違うというのはよくあることであり、仮に民主党が政権を取ったら、現実に即してファインチューニングすれば済む話です。

 そうした個別政策という枝葉の部分もさることながら、政策体系という太い幹の部分についても注目すべきではないでしょうか。そうした観点から気になるのは、“社会主義と脱官僚は本当に両立し得るのか”ということです。

 民主党のマニフェストは、売り文句の“生活支援”を実現するための“国民にお金あげます”政策のオンパレードです。正直、そこまで手厚くやる必要があるのかと思わざるを得ません。悪く言えば、社会主義的な方向性と言えなくもないです(ちなみに、子ども手当と高校教育無料化で6.2兆円です。財源の捻出ばかり議論されますが、そもそも今年度の当初税収見込みが46兆円という経済において、税収の10%以上を家計に配るのが本当に正しいか、という議論が必要だと思います)。

 しかし、そうした方向性は、民主党の最大の売り文句である――マニフェストでも5原則の一丁目一番地に掲げている――“脱官僚”と両立し得ないのではないでしょうか。政府の関与が増えれば増えるほど、大きな政府とならざるを得ないはずだからです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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