「食いたいだけ食って、飲みたいだけ飲んで、糖尿病になって病院に入っているやつの医療費はおれたちが払っている。公平ではない。無性に腹が立つ」

 これは、4月24日夜の会合での麻生太郎副総理の発言だ(産経ニュースより)。首相時代の2008年11月にも同様の発言をしており、麻生副総理の「病気になるのは自己責任」というお考えは筋金入りのようだ。

 だが、糖尿病は生活習慣だけが引き起こす病気ではなく、遺伝や自己免疫とのかかわりが深いものだ。さらに、5月22日、全日本民主医療機関連合会(民医連)が公表した「暮らし・仕事と糖尿病についての研究」では、糖尿病発症の陰には社会的要因が影響している可能性が指摘されたのだ。

20~40歳に増えている
重篤な2型糖尿病

 糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが足りなかったり、うまく働かなくなったりすることで起こる病気だ。インスリンが不足すると、身体を動かすエネルギー源であるブドウ糖が必要な細胞に運ばれなくなり、血液中にあふれてしまう。

 糖尿病患者の血糖値が高いのはそのためで、疲れやすくなったり、全身に倦怠感(だるさ)を覚えるようになる。重症化すると、神経麻痺による手足の切断、網膜の血管障害による失明、腎臓障害などの合併症が起こることもあるため、早めに適切な治療を受ける必要がある。

 糖尿病にはいくつかのタイプがあるが、代表的なのは1型糖尿病と2型糖尿病で次のような違いがある。

1型糖尿病
 自分自身を守るための免疫システムが何らかの異常を起こして、インスリンを作るβ細胞を誤って破壊してしまう病気。体内のインスリンの量が絶対的に不足するもので、子どものうちに発症することが多い。