デルタが米JFK空港の拠点化に注力 <br />課題は日本パートナー不在のアジア戦略デルタの記念式典にはブランソン・英ヴァージン・アトランティック航空会長(左)、ブルームバーグ・ニューヨーク市長(右手前2人目)らお歴々も集まった
Photo by Ayako Suga

 世界最大の航空会社・米デルタ航空が、ニューヨークの拠点化に力を入れる。

 5月24日、総額14億ドル(約1400億円)が投じられた、ジョン・F・ケネディ国際空港の第4ターミナルが第1次拡張オープンした。

 記念式典に集まったマイケル・ブルームバーグ・ニューヨーク市長、リチャード・ブランソン・英ヴァージン・アトランティック航空会長(ヴァージングループ創設者で会長)らの面々を前に、リチャード・アンダーソン・デルタ航空CEOは、やや興奮した面持ちで「デルタ航空が世界中で実施している投資の中でも象徴的な存在」とあいさつした。

 現在、デルタはJFK国際空港から米国内線46都市、国際線31都市の計77都市に就航しているが、国内線は第2ターミナル、国際線は第3、第4ターミナルに分散している。2015年夏に第2次拡張工事が完了すれば、すべての便が第4ターミナルに集約され、27のゲートで1時間に3000人の受け入れが可能になり、乗り継ぎがスムーズになる。

 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以来、米航空業界は不況期に突入し、デルタは業界再編の先陣を切って2010年にノースウエスト航空と合併した。同時に、世界各地でのネットワーク強化に力を入れてきた。大西洋路線でエールフランス―KLMグループ、アリタリア―イタリア航空と、運航スケジュールを調整したり運賃を共通化する共同事業を展開。さらに、ブラジルのGOL航空やメキシコのアエロメヒコ、そしてヴァージン航空へと出資してきた。

 また、航空会社としては珍しく、石油の精製所を取得して燃油費の削減につなげている。こうした戦略的投資やネットワーク強化のなかで、「ニューヨークへの投資がパズルの最後のピース」(アンダーソンCEO)になる。

 拡張後の第4ターミナルからは、アジア路線を拡大する計画だ。すでに、直近5年間でアジア太平洋路線の座席供給量を22%拡大させた。今後も「アジア地域は中間層の所得増に伴う旅客増が見込まれ、重要なマーケットになる」(ヴィネイ・デューベ・デルタアジア太平洋地区担当上級副社長)。

 現在、デルタのアジア地域でのハブ(拠点)は、成田空港だ。

 デルタのネットワークでは、米8都市から成田に就航。さらに成田からは、自国から相手国を経由して別の国へと営業運航できる以遠権を使い東南アジア8都市へ就航している。つまり成田は、米国とアジア各都市をつなぐ要所なのだ。