「私は元ツアーコンダクターですからお世話をするのが大好きですし、お客さまに喜ばれることが私の喜びです。今でこそサービス業の意識が高まっていますが、私が司法書士資格を取得した当時は、まだまだ司法書士=サービス業という認識が世の中には浸透していませんでした。そこで、私は世の中の人々がイメージする、相談しにくいという雰囲気を払拭したかったのです」と山口さんは言います。

 旅行業から転身して司法書士資格を取得し、司法書士事務所勤務を経て大阪で独立したのが1997年。司法書士としての存在を売り込むために、イエローページを頼りに税理士事務所を片っぱしから訪問したそうです。また、異業種交流会に積極的に参加したり、セミナーを開催したりして、自身が社会に数多く露出するよう努めました。

「大勢の人に直接会い、いつか必要が生じた時に『相談しやすい司法書士』を思い出して貰えればいいと考えて、アピールしました」(山口さん)

 また、取引がスタートしていない潜在顧客に対しても、先方に喜んでもらえるような情報を提供したり、時間厳守、期日の厳守等、あたり前のことをあたり前に行うことを徹底するのは勿論のこと、お客様に取引の申請が終わったら「今、終わりましたよ」と担当者に必ず電話して安心していただくような小さな「差別化」を積み重ねることにより、信頼を構築していきました。

 半年が過ぎ、努力の甲斐あって金融機関の定期的な仕事を受注したあたりから徐々に顧客が付き始めました。

 転機は2003年。4月に司法書士法人の法人化が可能になると、山口さんは迷わず法人化に踏み切り7月に司法書士法人コスモを設立、東京へも進出しました。折から顧客である金融機関に、店舗ごとの業務をまとめてコスモが受注することによるコスト削減の提案をしていた話が実り、東京での事業展開の糸口を掴みました。

 スタートから自分の強みを確立していた山口さんにとって、後はそれをブランド化していくだけでした。

顧客とコスモをつなぐインターネット

 東京進出によって「コスモグループは全国対応ができるサービスマインド溢れる司法書士法人」という評価が、金融機関の間で広まり、いくつかの金融機関を顧客とすることに成功しました。自社のホームページも充実し、アクセスも増加してきましたが、それでも山口さんには、顧客獲得は対面でという思いが強くありました。

 その印象を変えたのは、インターネットから返ってくる反響の多さです。

「目下のインターネットでの発信は、コスモグループのホームページ、新聞社が紹介する地域密着型の専門家サイトの山口里美ページ、そして私のフェイスブックの3つです。特に新聞社が紹介する専門家サイトのページの影響力は大きいですね。私個人を第三者の目から紹介してくださっているので、お客さま、特に新規のお客さまに説得力があるようです」(山口さん)