株式レポート
6月6日 18時0分
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日本株が下げ止まらない理由 - 村上尚己「エコノミックレポート」

5月半ばから急落した日本株は今週も下げ止まらず、日経平均はついに12,000円台まで下落した。6月3日レポートで紹介したが、今の日本株(TOPIX)の水準であれば、「脱デフレの助走期間」として、魅力的な投資対象と考えている。5月以降の日々の株価の変動率が極めて大きくなっているが、長いスパンで投資できる個人投資家にとって、ミスプライシングを拾えるチャンスである。

ただそうだとしても、日本株の調整がなかなか収まらない理由については、幅広い視点で考える必要がある。1つの理由は、為替市場で1ドル100 円割れとなる円高となっていることがある。米FRBの金融政策に対する思惑が揺れ動いており、そうした中で米国において個人消費以外の経済指標の改善が止まり、そして世界経済の復調が遅れている、ことが挙げられる(6月4日レポート)。

更に、日本銀行によって、「FRB同等」の金融緩和が発動された4月4日と同水準に株価が戻ったが、これは株式市場が、株高・円安をもたらしてきたアベノミクスに、疑念を投げかけているという面がある、と位置づけることができる。筆者はこの視点が、より重要だと考える。

5月28日レポートでも述べたが、脱デフレを目指すアベノミクスの本質は、「第1の矢」である金融緩和強化をまず掲げたことである。これがちゃんと命中し、脱デフレに直結する金融緩和策で、日本経済が浮上しなければ、「それ以降の矢」の効果はほとんど現れない。

株式市場はこれを理解しているが、最近になって、アベノミクスへの疑念を持ち始めたのではないだろうか。昨日(6月5日)、安倍首相は「第3 の矢」としての成長戦略についての講演を行った。筆者もこれを拝聴したわけだが、市場を失望させてもおかしくない発言があった。

具体的には、「経済政策の本丸は、3本目の矢である成長戦略」というフレーズだ。脱デフレによる経済復活のために、「第1 の矢」である金融緩和政策が重要であることを、安倍首相はかつてのリーダーよりは理解されていると筆者は考えている。ただ、心配し過ぎかもしれないが、正直不安になった。

もちろん、既に、第1の矢は十分役割を果たしていると判断し、「第3の矢」をアピールする講演だった、ということかもしれない。ただ、+2%の物価目標実現はまだまだ遠いし、脱デフレということは、「圧倒的な総需要不足」を解消する過程で起きることである。

そのためには、強力な金融緩和を続けることがまず必要で、そして総需要を減らさないマクロ安定化政策として「適切な財政政策」を続けることが必要である。これが脱デフレと日本経済の復活のために必要な処方箋だ。

「第3の矢」とされる成長戦略とは一体何なのか?総需要を刺激する具体的なプランがどの程度あるのか?それと関係ない、弊害が大きいプランが「成長戦略」という美名のもとに含まれていないか?アベノミクスが、「本丸」からズレ始めていないか?そして、「第4の矢」という脱デフレの障害になる政策が始まるか?そういう疑念が、最近の日本株下落の要因だと考えている。

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(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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