高値から不意に暴落、不安定な値動きに
一般投資家が手を出しにくい相場展開

 5月23日の急落以降、わが国の株式市場は不安定な相場展開が続いている。株式市場の売買動向や値動きを見ると、一部の大口投資家の先物や一部の現物株を使ったオペレーションによって、株価が波間に漂う木の葉のように揺れ動いている。

 市場関係者の間では、そうした動きの背景には、ヘッジファンドなど海外の投機筋の仕掛け的な売買があるとの見方が有力だ。確かにそうかもしれない。ヘッジファンドなどは、4月4日の日銀の“異次元の金融緩和策”の後、日本株の先物などを尋常でないペースで買い上がった。それによって、日経平均株価は一時、1万6000円手前まで上昇した。

 ところが5月23日、米国のFRBバーナンキ議長が金融緩和策の出口などに言及したことをきっかけに、彼らは一斉に利益確定の売りに出た。目標とする収益水準に達していたこともあったのだろう。

 それ以降、基本的に積み上がった日本株式の買い持ちのポジションを整理するために、先物や一部の現物株を売っているようだ。

 株式相場の振れ幅がこれだけ拡大すると、リスクが急上昇するため、一般投資家は手を出しにくい。そうなると、市場参加者が偏ることもあり、一段と相場の振れ幅が増す構図になる。一種の悪循環だ。

 そうした相場展開は、短期で売買を繰り返すヘッジファンドには重要な収益チャンスになる。彼らにとって、相場を大きく動かす材料があればそれでよい。アベノミクスに対する期待がどうかというよりも、単に彼らが保有するポジションの問題だ。

 アベノミクスへの期待の変化は、彼らのオペレーションのきっかけになっている。結果的に株高・円安基調の変化は、彼らに絶好の売り仕掛けのチャンスを提供することになっている。