4つの「聞く力」で、
「話を聞いてくれている」と思わせる

 だれかと会話をしていて、

「あ、この人は私の話を聞いてくれている」
と感じる人と
「あ、この人に話してもムダだな」

と感じてしまう人がいます。

 では、「話を聞いてくれている」と思わせる人は、どんな聞き方をしているのでしょうか?相手の話を聞くとき、私はとくに次の「4つ」を心がけています。

ポイント1【相手の目を見る】
 話し手と目が合ったら「4秒間」は目を合わせましょう。すぐに視線をそらすと、「話を聞いていない」と思わせてしまいます。「目が合わない」=「自分に関心がない」と思わせてしまう恐れがあるのです。

 研修中に、受講者全員に手を挙げていただき「私と目が合って、心が通じた感覚があったら、手を下ろしてもらう」ように試みると、たいていの人が「3〜4秒」で手を下ろします。このことからも、「あなたの話を聞いています」というサインを話し手に送るには、「4秒間、目を合わせること」が必要なのです。
 目を合わせるのが苦手な人は「相手の鼻の頭を見る」のでもOKです。

ポイント2【相手に体を向ける】
 首だけを向けるのではなく、「体の正面」をきちんと話し手に向けましょう。
 オフィスでは、パソコンの画面を見たままで、「声だけで生返事をする人」もいますが、これでは「聞いている」とはいえません。
 私がお客様として搭乗された松田聖子さんに「もう一度会いたい」と思ったのは、狭い機内であっても「私のほうに体を向けて、目を合わせてくれた」からなのです。「大切にされた」と感じたからなのです。

ポイント3【メモを取る】
 CAは、「メモ魔」で、フライトの情報、先輩からの叱責、お客様のご要望など、いろいろなことを書き留めます。メモを取るのは、「内容を忘れない」ためであると同時に、「あなたの話をきちんと聞いています」という意思表示にもなります。つまり、「メモを取る」という行為は、相手に安心感を与え、相手の「承認欲求」を満たすのです。

 私が講師として登壇し、お話をしているときも、受講者のなかにメモを取っている方がいると、とても嬉しく、「もっとがんばろう」という気持ちになります。

 また、1対1での話し合いでメモを取るときは、必要に応じて「そのお話はすごく心に響いたので、忘れないようにメモを取らせていただいてもよろしいですか?」といったように、ひと言、断るとさらに丁寧です。