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田中秀征 政権ウォッチ

中国は「太平洋」にご執心!?

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第187回】 2013年6月13日
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 中国はなぜ「太平洋」という言葉にこだわるのか。

 中国の習近平国家主席は、今回の米中首脳会談で、オバマ大統領に向かって、「広く大きな太平洋には米中の両国を受け入れる十分な空間がある」と発言している。

 習氏は副主席時代の昨年に訪米したときもほぼ同様のことを言った。なぜ「太平洋」を強調するのか違和感を持ったものだ。

 報道によると、今回の会談を通じて何度も「太平洋」に言及したらしい。

 おそらく、この太平洋と言う言葉は、習主席の今後の国家経営や外交展開のキーワードとなると私は思っている。

“海の万里の長城”を取り払いたい

 中国はどうして「太平洋」に過敏に反応して身構えるのか。

 中国が接する海は東シナ海と南シナ海だが、それは太平洋の一部の名称と言ってもよい。太平洋の中の東シナ海は、東京都の中央区などに当たる。だからあえて太平洋を強調する必要はないとも言える。

 だが、今、中国人が中国の海岸に立って海を眺めていることを想像すると習主席の発言の意味も深まってくる。

 中国から太平洋を臨むと、近くに日本列島、沖縄、台湾、フィリピンと「第一列島線」が、それこそ海の万里の長城のように見えるのではないか。中国と太平洋を遮断しているカーテンのようにも見えるのかもしれない。

 冷戦終結後、ソ連(ロシア)は西の横綱の地位を明け渡した。その後の米国の一人横綱の時代から、中国は自ら西の横綱となって世界を二分しようと狙っている印象も受ける。習主席は今回の会談でも「新たなタイプの大国関係」を築く意向を表明している。

 欧米を率いる米国と、アジア・アフリカを率いる中国。太平洋も日付変更線(?)で二分して両国で統治しようということか。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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