私は、これまでメーカーの海外営業、独立系コンサルティング企業を経て、都合9社の米国IT企業の日本またはアジア全域の統括代表など先端IT企業のマネージメントに直接的関わりを持ってきた。現在65歳。最後に務めたパラレルス社(中小事業者向けクラウドに特化)においては、4月より名誉会長となり、実質的な企業経営の現場からほぼ身を退くことができた。

 同時に財団法人・日本総合研究所の理事に就任し、東京事務所のマネージメントを任されることとなった。40年の歴史を誇り、野村総研とほぼ同じ時代に誕生した名門シンクタンクである本研究所では、現在、寺島実郎氏が理事長を務め、共同設立者(Co-Founder)である野田一夫会長を筆頭に、6人の素晴らしい方々が理事を務めている。日本の編集工学の第一人者である松岡正剛氏もその一人であり、私のような経営の現場上がりの者が7人目の理事として名を連ねても良いのか?と多少逡巡するところだが、映画『踊る大捜査線』の主役の名台詞を借りるならば、”事件は現場で起きている”のであり、今の時代日々事が起こっている現場を知った上での政策提言が絶対に必要であると考え、野田会長からの直接の招聘に応えさせていただいた。

 ちなみにシンクタンクとの言葉に馴染みの無い方もいらっしゃると思う。そもそもシンクタンクとは何か?

 THINK(考える)TANK(集団)であり、SINK(沈む)ではない。Wikipediaから引用させてもらうと、

シンクタンク(英語: think tank)は、諸分野に関する政策立案・政策提言を主たる業務とする研究機関。19世紀後半に「社会改良運動」を目指して英国で創設されたフェビアン協会、20世紀初期に「米国型リベラル思想」に基づいて創設されたブルッキングス研究所などが、シンクタンクの始まりと言われている。現在も、欧米においては、そのほとんどが非営利団体という形態を取り、政策研究を展開し続けている。直訳すると、頭脳集団。

 となる。

 寺島理事長は、より血の通った表現でシンクタンクに求められる要件について著している。その言葉を要約すると、「冷静な知性」「公共政策形成力」に加え、「インテリジェンス」「情報力」ということになる。

 ここで、「インテリジェンス」とは問題解決型の情報活動のことである。

 単なる情報の収集や整理、分析だけでなく、問題を解決し得る力を持った情報活動が求められるのだ。世界のシンクタンクにおいて、時代の解析と課題解決に立ち向かっている人間は、生身の人間として実に興味深く、洒脱で魅力に溢れている。

 つまり、意見交換を通じて感じとることができるのは、論理性や理性もさることながら、人間としての感性、情愛が豊かで熱い正義感とか問題に挑みかかる情念に溢れているということである。