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政局LIVEアナリティクス 上久保誠人

「小沢支配」の指摘は的はずれ
小沢氏が目指す国会制度の健全化

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第38回】 2009年12月8日
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 小沢一郎民主党幹事長が議員立法提出の自粛を求めるなど、「小沢支配」を固めているとの批判が強まっている。政策決定を政務三役(大臣、副大臣、政務官)に一元化し、それ以外の選挙と国会にかかわる政治的な問題を党が行う。しかし、議員立法の自粛等で議員活動が制限されると、大多数の与党議員が小沢氏の支配下に置かれるという懸念が広がっているからだ。

 「闇将軍」田中角栄元首相の直系の弟子である小沢氏は、日本政治の長年の問題である「権力の二重構造」の元凶とされてきた。また、小沢氏は自らが関わった政権や政党を次々と崩壊させる「壊し屋」とも呼ばれてきた。小沢氏による党の掌握は、「権力の二重構造」を生み、いずれ鳩山政権を崩壊させると言う識者もいる。

 一方、小沢氏には「英国流議会制民主主義」を日本に持ち込んできた「改革者」というもう1つの顔がある。小選挙区制による二大政党制実現を狙う「選挙制度改革」や、「党首討論」「副大臣制」の導入は、小沢氏の主導で実現したものだ。

 鳩山政権下における小沢氏の国会制度改革の狙いも、「小沢支配」を固めるためではなく、この一連の英国流議会制度導入の完成を目指すものだ。

「与党事前審査」の廃止と
政務三役主導体制

 鳩山政権の「政治主導」の政策過程では、事務次官会議廃止など官僚を政策過程から排除し、政務三役が省庁での法案作成、省庁間の調整から閣議への提出まですべてを主導する。また「経済財政諮問会議」の廃止など、審議会の見直しも決定した(第37回)。自民党政権下では、各省庁の審議会における議題設定から政策過程がスタートしたが、議題設定権を持つ官僚がその主導権を握っていたからだ(第20回)

 自民党政権下では、各省庁で検討された法案が自民党政調会の「与党事前審査」に回された。これに対して、鳩山政権は民主党政調会を廃止し、与党事前審査を行わないことを決定した。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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「大物政治家に話を聞いた」「消息通に話を聞いた」といった大手マスコミ政治部の取材手法とは異なり、一般に公開された情報のみを用いて、気鋭の研究者が国内・国際政局を分析する。

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