シェール革命で勝ち組、負け組が明らかになる

 シェール革命は原油や天然ガスの国際的な価格を下げることによって、世界の経済や政治に大きな地殻変動を起こすことになるでしょう。シェール革命によって、新興国の代表であるBRICs諸国はどのような影響を受けるでしょうか。

 負け組はロシアとブラジルです。

 両国ともこれまで資源高によって過剰な恩恵を受け、経済成長を続けてきましたが、その反面、シェール革命でエネルギー価格の下落が起きると、もはやこれまでの経済成長は望めず、構造的な経済停滞に突入していくかもしれません。資源に頼らない新たな産業をつくりださなければ、これまでのような成長を続けることはできないでしょう。

 さらに、資源価格の問題だけでなく、両国が抱える固有の問題もあります。ロシアには政変リスクが、ブラジルには不良債権リスクがあり、シェール革命によってそれらの問題が表面化する可能性が大きいのです。

 では、勝ち組はどこかといえば、インドです。

 現在、インドは財政赤字や貿易赤字に苦しみ、脆弱なインフラやカースト制度のために外資を思うように呼び込めないという苦境に立たされています。しかし、これらの点に関しては、シェール革命によって、カーストの問題を除いて多くの問題が改善へ向かうことになるでしょう。ロシアやブラジルとは逆に、資源高の恩恵を受けられなかったからこそ、シェール革命の恩恵を受けられる国なのです。

 そして中国は、シェール革命によって、勝ち組にも負け組にもならない国です。世界一の埋蔵量があるといわれるシェールガスの産出がどれだけ事業化できるかは未知数ですが、エネルギー価格の下落はエネルギー需要の大きい中国にとってはプラスに働くでしょう。

 ただし、シェール革命による生産コスト構造の激変から、これまでのように「世界の工場」としての地位を失うリスクが高いので、勝ち組とも負け組ともいえないのです。