「相手が納得する状況」を
いかに作り出すか

「人を動かす」というと、良くないイメージを持たれるかも知れません。しかし私は、同じ仕事をしてもらうのであれば、「気持ちよく相手に仕事をしてもらう」にはどうすればいいかを考え、イメージを働かせるようにしています。

 先ほどのBさんとC主任のやりとりでも、Bさんが理由を告げて対応すれば、また違った展開になっていたように思えます。

C主任 「俺が不在だった会議だよね?勝手に決めるなんて困るよ。今月はお客さんへのフォローで精いっぱいだよ。Bさん、代わりにやっておいてもらえる?」
Bさん 「そうしたいのですが、私も別の宿題を抱えていますし、一番取引先の事情に明るいのがC主任だと課長が指名されたものですから、何とかお願いできないでしょうか?」
C主任 「うーん、仕方ないなぁ。何とかやってみるよ」

 この話では上下関係の構図の中でやりとりが進んだため、課長の名前を引き合いに出して、C主任に対応してもらえました。どのような構図であれ、相手が納得する状況に持ち込むことが仕事を頼むときの基本です。

 相手を納得させるということは、理性または感情の面で相手の同意を得るということです。たとえば、「依頼を受けるよりも断ったほうが損をする」と理性に働きかけたり、「この人のことを助けてあげたい」と感情へ訴えかけます。